横須賀の米海軍艦隊は数百ものPFAS製品を日々使用し、日本を汚染している

横須賀市の上地克明市長は、定期的に東京湾に排出されている下水処理水のPFAS検査結果の公表を米海軍に要求し、世界の注目を集めた。

下水道水には、発がん性の高い 2 つの化合物である PFOS と PFOA が危険なレベルで含まれている。

パット・エルダー著

2024 年 3 月 22 日

横須賀の米海軍は、発がん性のPFASを含む何百点もの製品を日常的に使用し、廃棄している。 ここでは、米軍が国家安全保障上の懸念から代替不可能である言う4つのPFAS製品をご紹介する。

このテープは、PFASの一種でテフロンとして知られるポリテトラフルオロエチレン (PTFE) でできている。商品としては最高の効果が期待できる一方で、安全な処理方法がなく、しかも命の危険さえ伴うのだ。 ここでご紹介する他の商品も同様である。

3M の 74 スプレー接着剤は、発泡スチロールや布地を幅広い種類の物質に接着するのに、最高に優れている。 ケマーズ の製品である バイトンは、合成ゴムに PFAS を添加して作る。 PFAS 化学物質ほど優れた効果を発揮するものはなく、エンジン部品を洗浄するにも、PFAS 製品を凌駕するものはない。 3M の ノベッククリーナーにも沢山使われている。 米軍は、それらに代わるものはないという。

PFASは万能なのだ。

上地克明横須賀市長への公開書簡

上地市長殿

貴殿が防衛大臣へ送付なさった米艦隊横須賀基地の廃水処理施設から海に流入する発がん性化学物質PFASに関する要望書(2024年2月20日)は歴史的な書簡であります。 貴殿は、政治的便宜よりも市民の健康を擁護なさいました! 

横須賀艦隊の活動から出る排水のPFAS検査の結果を貴殿が繰り返し求めたにも拘らず、米海軍が応答していないことに、弁護の余地はありません。 日本の大都市横須賀の人々は、東京湾に日常的に排出される発がん性物質のレベルを知る権利があって当然です。

 米海軍は地域を汚染し続け、その環境破壊に関する科学的データを差し控えています。この不当行為に立ち向かうには、歴史を知る必要があります。

2022年9月、米海軍は横須賀海軍基地から出る排水中に12,900pptのペルフルオロオクタン酸(PFOA)が含まれていることを示すデータを発表し、世界に衝撃を与えました。 毎日新聞は、基地の処理場から排出される廃水から8,592pptのPFOSが検出されたと報じました。

市長は、これらの発がん性物質は非常に強力で、1pptでも東京湾の水生生物、植物、動物を汚染する可能性があることをよくご理解なさっています。 PFOA は下水処理場の固形廃棄物に集まる傾向があり、これ を含んだ下水汚泥がどのように「処分」されているかを知ることは重要です。 それを農地に撒くと作物が汚染される可能性があります。 通常、焼却しても分解されず、その結果、微粒子や雨によって、空気、土壌、河川、海が汚染されます。

PFOS は、水中のレベルの最大 2,000 倍、魚の体内に生体濃縮される可能性があります。 横須賀は大きな問題に直面しており、東京湾も同様です。東京、川崎、横浜、横須賀といった大都市の産業界と軍が日常的にこれらの化学物質を東京湾に放出しています。 

以下の表には、東京湾の5種類 の魚の肝臓と血液中の PFOS 濃度が pptで示されています

 魚の体内から、PFHxS と PFBS も危険なレベルで検出されました。 他の多くの PFAS 化合物も魚の組織に生体濃縮することが知られています。 

飲料水中のPFASレベルが50pptを超えると人々は警戒しますが、魚のことを考えている人はほとんどいません。

ここで扱う5種類の魚:

スズキ

アナゴ

カレイ

スティングフィッシュ

メバル

これらの化学物質は水に浸透し、 湾、河川、海に堆積します。 海岸線沿いの堆積物は、日光で乾燥すると微粒子となって空気中に漂い、風で運ばれます。 米国の軍事施設近くでは、発がん物質PFOA、PFOS、PFHxSが屋内の粉塵から数百万pppの濃度で検出されており、小さな子どもたちが危険にさらされています。

しかし、人間の主な摂取経路は、食品としての魚です。

上地市長、日本の知性、歴史、文化について、お恥ずかしいことに、私の理解はまだ十分ではありません。ただ、日本国民がこの食べ物、特に魚を介して体内に取り込まれるPFASの脅威をまだしっかりと理解しているとは思えないのです。貴殿は確かに理解していらっしゃいますね。

海軍が放出するPFOSのレベルが、漁業業界に与えるダメージを懸念して、貴事務所が表明した2022年の声明を拝読し、深く感動しました。   

 発がん性物質PFOSが魚の体内に蓄積・濃縮することを理解し、公で積極的に発言なさる貴殿は、偉大な政治家です。 私の住むチェサピーク湾流域で漁れる魚が米海軍の活動で汚染されていることを、真正面から言えるメリーランド州の政治家は未だに一人もおりません。

私たちは皆、同じ力に圧迫されています。日本人だけが厳しい扱いを受けているのではない、と言うことをお伝えしたかったのです。

 米海軍はここメリーランド州でも海水と魚を汚染しており、ここの住人である私たちもそれに対して無力なのです。

日本人の中で血中濃度が上昇している人たちがいるのは、水を飲み、塵や空気を吸い込んだだけでなく、魚を食べているからでもあります。 

2023年9月24日、横須賀港、市川平船長の「おむすび丸」から撮影

2022 年後半、海軍はここに示されている赤色の「粒状活性炭 (GAC) フィルター」を廃水処理施設に設置しました。 これは、危険なPFASレベルを知った市の激しい反応を受けての対応でした。

GAC は長鎖 PFAS の除去には効果的ですが、この技術は短鎖 PFAS の除去にはパフォーマンスが劣ります。 食用魚介類には、短鎖・長鎖の両方の PFAS 化合物が含まれています

フィルター設置から1年後の2023年10月21日、海軍は突然、粒状活性炭フィルターの稼働停止を報告しました。 海軍は市に対し、「PFOSなどの値は『安定している』、下水処理施設は大規模な横須賀海軍施設からの排水をすべて処理しているため、(PFASの放出の)原因を特定するのは難しい」と説明しています。

海軍は町に対し「下水処理施設は大規模な横須賀海軍施設からの排水をすべて処理しているため、(PFASの放出の)原因を特定するのは難しい」と説明しています。

市長は、「粒状活性炭フィルター通過前後の水が暫定指針値の50pptを下回ったことを確認したため、(米海軍が)GACフィルターの使用を中止した」と書いています。 これは、ある時点で、主に PFAS ではない物質を含む廃水が新しく設置された GAC フィルターを通る場合に当てはまります。 しかし、米海軍当局からの説明がないので、実際のところはどうなのかわかりません。

モニタリングの継続性とプロセスの透明性が不可欠です。 毎日の気温を知るのと同じように、これらのレベルを知る必要があります。

基地内でPFASがどのように使用されているかを調べてみましょう。

米下院は国防総省に対し、国家安全保障にとって極めて重要なPFASの用途を概説する報告書を作成するよう指示しました。 これに応じて、国防総省は2023年8月に、重要なパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質の使用に関する報告書を発表。

米国政府は、米国の各州がPFASの使用を制限する法律を可決しつつあることを認識していた。これに対し、州の法律がどうであれ、軍は全てこの毒物の用途を、「国家安全保障のため」に必要であるとみなした。

重要な PFAS の使用がすべての主要な兵器システムで確認されました。

ここでは、在日米軍の何百ものPFAS使用方を大雑把なカテゴリーに分類してリストします。 これらの各商品の製造は犯罪と言えます。

1.     エネルギー貯蔵とバッテリー

2.     マイクロエレクトロニクスと半導体

3.     鋳造品と鍛造品および戦略的重要鉱物

4.     冷凍・空調、冷却

5.     電子機器の熱制御

6.     海軍の船舶、航空機、車両の消火

7.     水性皮膜形成フォーム

8.     ライン、ホース、O リング、シール、ガスケット、

9.     テープ、ケーブル、コネクター

10. 電子/誘電性流体

11. 高度なオイル、グリース、液体、および潤滑剤

12. 精密洗浄液

13. 脱脂・洗浄液

14. 接着剤

15. 断熱材と発泡発泡材

16. 機能性材料用樹脂

17. 特殊フィルターとメンブレン

18. ユニフォーム生地、ファブリックライナー、ファブリックバリア

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市長、貴殿は在日米軍に説明責任を求めることにこれまで多くの時間を費やしてきましたが、これ以上同じ努力を積むのはさらに結果が遠のくだけのように見えます。 地位協定とその不公平さのことは今は横に置いて、別な作戦をお勧めします。 不可欠なPFASの使用に関する国防総省の報告書で具体的に言及されている市販製品の存在を確認し、これらの製品の製造元に、その説明責任を追求してみてはいかがでしょうか。米国の被害者は、このアプローチで大きな成果をあげています。 3Mとケマーズに対して、行動を起こしてみる価値があると思いますし、それが、今利用できる唯一の治療法だと思います。米下院は国防総省に対し、国家安全保障にとって極めて重要なPFASの用途を概説する報告書を作成するよう指示しました。 これに応じて、国防総省は2023年8月に、重要なパーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質の使用に関する報告書を発表。

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ガザを毒する

パット・エルダー
2024年1月31日

ガザでは土壌、海、空気、地下水が汚染され、建物とその中にいる人々が燃えている。              - 写真 APニュース

ジョシュア・フランクの記事『ガザを住めなくする』は、すべての人に読まれるべきだ。フランクは『カウンターパンチ』の編集長である。彼はこの1月12日の記事で、崩壊しつつあるガザのインフラと悲惨な状況について述べている:

「第二次世界大戦の連合軍のように、イスラエルは無差別に殺戮を行っている。発射された2万9000発の空対地弾のうち、40%は住宅密集地に投下された無誘導爆弾だ。国連の推計によれば、12月下旬の時点で、ガザにある学校の70%が、イスラエルの猛攻撃から逃れてきたパレスチナ人の避難所として使われていたが、その多くが甚大な被害を受けた。また、数百のモスクや教会も攻撃され、ガザにある36の病院の70%が攻撃され、機能しなくなっている。 ヒューマンライツワッチによると、イスラエルは食料と飲料水の不足を戦争の道具として利用している。

イスラエルの猛攻に伴う致命的な汚染を、アルジャジーラの報道から検証する。

アルジャジーラの報道: 「ガザに投下された何千、何万というイスラエルと西側諸国から供給された爆弾は、死

だけでなく、爆発性の化学物質、粉塵、破壊された建物の破片による有毒な遺物を残し、空気と土壌を汚染している。イスラエルによるガザへの軍事攻撃は、ガザの土壌に新たな有毒化学物質の層を残している。

アルジャジーラからの詳細:

ナダ・マジダラーニは、ヨルダン、パレスチナ、イスラエルの環境保護活動家を集めた組織、「エコピース中東」のパレスチナ人ディレクターである。

5:20と14:53をご覧ください

彼女は状況をこう説明した: 「私たちは、病気の蔓延や路上に積み上げられた死体で、危機に瀕しています。ガザは伝染病を引き起こしやすくなっているのです。

環境と公衆衛生に対する脅威が山積しています。イスラエルが使用する白リンなどの化学兵器が、大気汚染に影響しているのです。白リン弾の残留物が大気中に漂っているのです。雨季になれば、これらの残留物が雨とともに堆積することが予想されます。残念なことに、多くの人々が雨水を飲料水に使っています。また、未処理の塩分を含んだ水も飲んでいます。これは腎臓や肝臓の病気を持つ人々にとって危険です。寄生虫感染、肝炎、水ぼうそうの危険もあります。」

ナダ・マジダラーニによれば、戦前、ガザの帯水層の97%は、飲料用に適さないものだったという。現在では、処理施設の稼動に必要な燃料不足で、廃棄物や廃水に関して甚大な問題が生じているという。その結果、未処理の汚水がガザ海に流入し、街路にも流出している。

現在、イスラエル軍がガザ全域のトンネルに燃料と海水を注入しているという報告があるが、これは飲料水の帯水層への致命的な打撃である。

鉛、亜鉛、クロム、銅、プラチナ、チタン、カドミウム、ニッケル、バナジウムなどの重金属が、PFASやリンとともに街路に流出し、海に流れ込んでいる可能性がある。地球上のいたるところにある廃水処理施設は、たとえそれが適切に機能していたとしても、化学物質による汚染の温床となる。

ガザでは下水が道路にあふれ、海を汚染している。

AP通信によれば、現地で発見された爆風片から、ガザに投下された爆弾の大半が米国製であることがわかった。その中には、人口密集地で数千人を殺害した2,000ポンドの 「バンカー・バスター 」も含まれている。

地中海で2003年3月21日、USSハリー・S・トルーマンの飛行甲板に運ばれる2000ポンドGBU-31統合直接攻撃弾(JDAM)。この爆弾はイラクで使用さた。                     

米海軍よりゲッティイメージズ提供

JDAM爆弾には、1,000ポンドと2,000ポンドの 「バンカーバスター 」と呼ばれる精密誘導爆弾がある。

ペンタゴンの元国防高官で、国連の戦争犯罪調査官でもあるマーク・ガラスコは、「バンカーバスターは地球を液状に変えてしまう。ビルを丸ごとぺしゃんこにしてしまうのだ。」と表現する。

ワシントンがイスラエルに寄贈した100発のBLU-109爆弾は、硬化した構造物を打ち抜いてから爆発するものだという。

2000ポンドのBLU-109爆弾は、民間人を殺すことを目的に、特別に設計された武器で、家族が身を潜めているような地下の堅固な目標を貫通する。この爆弾は、遅延作動信管が550ポンドの高爆発性トリトナールを爆発させ、確実にその場所を大破する。

トリトナール

トリトナールの主成分は、TNTとして知られる2,4,6-トリニトロトルエンで、これは ガザの爆発物関連の汚染の大部分を占めている。TNTは、健康と環境にさまざまな懸念をもたらす。暴露によって起こりうる症状には、皮膚や粘膜の炎症、肝臓障害、黄疸、チアノーゼ、末梢神経障害、筋肉痛、腎臓障害、白内障、皮膚炎、白血球増加、貧血、心臓不整脈などがある。(NIOSH 2016)

TNTへの暴露経路で最も可能性が高いのは、汚染水を飲んだり、汚染された地表水や土壌の皮膚接触である。吸入や汚染土壌で栽培された作物を食べることによっても起こりうる(ATSDR 1995)。 欧州化学物質庁(ECHA)は、この物質は癌を引き起こす可能性があり、生殖能力や胎児にダメージを与え、遺伝的異常を引き起こす疑いがあるとしている。

ジェネラル・ダイナミクス社はこの死の物質を売りつけ、素晴らしい利益を上げてきた。同社は世界中で10万人以上の従業員を雇用し、2023年には423億ドルの売上を計上した(115カ国)。

ボーイング社、ジェネラル・ダイナミクス社、ロッキード・マーチン社などがイスラエルで使用する兵器を製造することは、アメリカ経済にとって良いことだというのは、一種の誤った循環推論である。実際には、兵器は米国の税金でイスラエルに提供され、軍需品は、米国やガザに病院を建設したり、崩壊したインフラを再建したりするような、プラスの価値を何ももたらさない。

ワールド・ソーシャリスト・ウェブサイトのガブリエル・ブラックが、米国がイスラエルに提供している武器について素晴らしい調査結果をまとめた。ロイター通信、国際戦略研究所、アルジャジーラからのデータによれば、この艦隊は以下のように構成されている:

●     ロッキード・マーチン社製F-35

●     ジェネラル・ダイナミクス社とロッキード社製のF-16

●     マクドネル・ダグラス/ボーイング社製のF-15。これらの戦闘機には、爆弾、ミサイル、誘導キットが装備されている。

アルジャジーラによれば、イスラエルは25,000トンの弾薬を投下したという。これは、第二次世界大戦でアメリカが広島に投下した原爆の約2倍の威力である。

RDXも同様

RDXはアメリカを超大国にした。そのRDXが今、世界の水と土壌を汚染している。          

プロパブリカ

通常爆弾の多くはRDXでできている。ガザの人々は、爆発によるRDXのガスを吸って被爆する可能性がある。 また、汚染された水を飲んだり、汚染された土壌に触れたりすることでもRDXにさらされる可能性がある。RDXは肝障害、浮腫、貧血、血鉄症、脊椎疾患と関連している

統合直接攻撃弾(JDAM)

2023年11月6日-75人の反軍国主義青年たちが、ミズーリ州セントルイス近郊のボーイング製造工場598のすべての入り口を封鎖した。 @wearedissenters

統合直接攻撃弾(JDAM)は、「馬鹿な爆弾」を「賢い爆弾」に変える付加的な武器である。 世界中のJDAMは、ミズーリ州セントルイスにあるボーイング社の工場で製造されている。

オハイオ州、ミシガン州、ペンシルベニア州のジェネラル・ダイナミクス社の労働者1,100人以上が、イスラエルに兵器を供給している。兵器を生産する工場の多くは、全米自動車労組(UAW)や国際機械工・航空宇宙労組(IAM)の下で組織されている。これは、1965年にフィル・オックスが歌った『I ain't marching anymore(俺はもう行進なんてしないんだ)』を彷彿とさせる:

今労働者たちのリーダーが叫び声を挙げている

ミサイル工場を閉鎖するというので

「平和」と呼ぼうが、「裏切り」と言われようが

「愛」と呼ぼうが、「良識」と呼ぼうが、

僕はもう行進なんてしないんだ

ガザの人々は、イスラエル軍が投下した爆弾の煙を吸わないよう、最善を尽くさなければならない。近代的なアパートが炎に包まれると、有毒ガスが発生する。この図は、致命的な煙の吸入を科学的にとらえたものである。

 ここにある化学物質は、アパートの爆破から発生する煙の中に含まれている。

巨大なアパートが燃えるとき、何千もの有毒な化学物質やガスが発生する可能性があるが、それぞれの化学物質がもたらす健康への害について現代科学の研究はまだ追いついていない。

炎に包まれる物質を想像してみてほしい。プラスチック、発泡スチロール、繊維製品、カーペット、人間や動物の死体、木製品(薬剤処理された木材、合板、フローリング)、アスベスト、鉛、塗料、合成繊維、電子機器、家具、家庭用化学薬品などである。

特にアスベストが問題である。

このような火災の影響を受けた環境にさらされることで、呼吸器疾患、心臓疾患、ガンが、一昔前とは比べものにならないほど増えている。それは今日、製品や兵器の製造に使用される化学組成が劇的に変化しているからである。米軍基地で致命的な化学物質にさらされた退役軍人(およびその扶養家族)の間で憂慮すべき数のガンが発生していることが、それを物語っている。米国とイスラエルの政府と軍隊は犯罪企業なのだ。

白リン

2023年10月11日、イスラエルによる白リン攻撃の後、ガザ地区上空に立ち上る煙。多くのガザ住民が生きたまま焼かれた、イスラエルによる残虐行為の初日。         

    - アリ・ジャダラー/アナドル  ゲッティイメージより

シリアは以前からイスラエルのナパーム使用に苦言を呈しているが、ガザでそれが使用されたという証拠はない。イスラエルがもう一つの恐ろしい焼夷弾である白リンを使用していることは分かっている。白リンは人体に極めて有害である。

ガザの人々は、白リンで汚染された空気を吸ったり、水や食べ物を飲み込んだりして、白リンにさらされている。白リンはリン鉱石から作られる化学物質で、 爆弾、コンピューターチップ、殺鼠剤などの製品を作るために使用される。 まさに画期的な新世界だ。

白リン爆弾は、通常の爆弾による負傷よりも深刻で治療が困難な負傷を引き起こす。白リン由来の火傷は強烈な痛みを伴う。皮膚の中で燃え続けている間、傷から煙が出ているのを見たという報告もある。まさに邪悪だ。白リンは脂肪に溶けやすいため、皮膚から体内に吸収され、腎臓や肝臓、心臓にダメージを与える。

ナダ・マジダラーニが説明したように、ガザは雨季を迎えている。爆撃現場から流れ出た雨水は、近隣の水路やその堆積物、水生生物を汚染するので、いずれそれを食べる人間の体も汚染される。

農薬

イスラエルは、ガザとの緩衝地帯に沿って大量の農薬を散布し 「テロ分子」が隠れそうな 場所を奪ってきた歴史があり、ガザの農民たちは、農作物と生計が 損なわれていると言っている。

PFASや臭素系難燃剤に関するイスラエルの緩い取締りを見れば、国が農薬で溢れていても驚くにはあたらない。公衆衛生を守るために作られた環境・保健機関は、企業ファーストの安全保障国家に従属しているのだ。

イスラエルの農薬や殺虫剤の使用量は世界でもトップクラスであり、BDS*を支持する人々にとってはもうひとつの興味深いネタである。最も汚染されている農産物は、リンゴ、葉物野菜、小麦、大麦、イチゴ、ブドウである。

イスラエルが非ホジキンリンパ腫の罹患率が世界で最も高いのも驚くにあたらない。イスラエルの子供たちは有機リン系農薬に広くさらされているのだ。

イスラエルに大人の考え方をする人はいない。私たちは、狂気のファシスト国家の成熟を目の当たりにしているのだ。イスラエルは新たな世界秩序への道を先導している! アメリカにおける極右の台頭について、ノーム・チョムスキーは次のように説明している。「主要政治的組織(不断の階級闘争と、この悪と闘うことができたかもしれなかったのに)が委縮してできた空白に、ネオファシズムが入り込む準備が整っているのだ」。

ガザの勇敢な人々と連帯して!

*BDSとは:Boycott, Divestment, and Sanctionsの頭文字で、ボイコット、投資撤収、制裁を行うことによって、イスラエルに対し、国際法に違反するとみられる行為を中止させるための政治的・経済的圧力の形成と増強を目的としたグローバルなキャンペーン

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兵庫県明石川のPFAS汚染は 過去最高レベル

川から10万pptのPFOAが検出された。

これは地球上のどこよりも高いレベルである

パット・エルダー 2024年1月4日

丸尾まき県議(右)が神戸市環境保全課を訪れ文書を提出 し、産業廃棄物事業者に発生源の調査を求めた。

兵庫県議会議員の丸尾まき氏は、明石川におけるパー フルオロオクタン酸(PFOA)の濃度を非常に懸念してい る。PFOAはPFAS化合物(有機フッ素化合物の総称)の 中で最も致命的な物質と考えられている。丸尾氏は、自 分が代表を務める市民の健康を心配している。 2023年、丸尾氏らは神戸市西区の明石川流域などで PFAS検査を実施した。

過去最高レベルのPFOAが検出された場所は 海から12 キロ、神戸からそう遠くない。

丸尾議員のグループの特定箇所のひとつに、明石 川で10万pptのPFOAが検出された所がある。同議 員によれば、土木工事会社であるセイシン開発の責 任だという。ここのPFOA放出量は世界最高記録で ある。 丸尾議員は力強く語った。「これは人類に対する大 罪です。 おそらく同社は、自らの行動がもたらす結 果を理解していないのでしょう。日本人と環境を守る のは環境省の責任です。同社も環境省も人間の健 康を危険にさらした責任があります。」


セイシン開発の処分場から、目標値の2,000倍の有害 汚染 物質が流出

PFOSとPFOAの合計について、日本政府の「暫定 目標値」である50pptを超える濃度が13カ所で観測 された。日本の環境省は傍観している。 世界中の下水処理場から流れ出る廃液中のPFAS 濃度は、様々な調査によると、最大5,663.3pptに及 ぶことが判明している。 2022年、東京湾に面した米 海軍横須賀基地は、海に流出する排水から 12,900pptのPFOAが検出されたと報告した。 京都大学の小泉昭夫名誉教授(環境衛生学)は神 戸新聞の取材に対し、「産業廃棄物として処理され ている化学物質が漏れている可能性がある」と述べ ている。日本国民はこの偉大な環境預言者の言葉 に耳を傾けるべきだ。 PFOAは猛烈に漏れているが、簡単に元に戻るよう な漏れではない。日常の一部である「漏れ」なのだ。 ある工業プロセスでは、発がん性物質を放出する必 要がある。そして、日本にはまだ良い解決策がない ようだ。


ここは、セイシン開発から明石川に流出する高濃度毒 性水の現場である。

こうした政治的な意味合いの強い人類の健康危機 を解決するために、多くの人々が日本政府に期待し ている。米国や先進国の多くでは、政策的な現実か ら積極的な規制は困難である。日本は世界の希望 であり、それは環境省から始まる。 神戸新聞がこう報じている: 環境省によると、海外ではPFASの発がん性 などのリスクが指摘されているが、日本では 健康被害は確認されていないという。しか し、日本各地の河川で指針値を超えている ことから、環境省はPFASの有害性について 調査を行う方針を示している。

(PFASに関して)日本は諸先進国から5~10年遅れ ているが、その驚異的な歴史が語るように、急速に 追いつきそうだ。

環境大臣のスポークスマンは、「法的規制がないた め、高い数値が検出された場合は、汚染源と思われ る事業者に自主的な対応を求めることになる」と説 明した。

汚染事業者が自主規制することが許されているの は、それができないという法律がないからだ。このよ うな公共政策は危険であり、日本国民がこれらの化 学物質の危険性を知るにつれて変わっていくだろ う。京都大学の小泉昭夫名誉教授や原田浩二准教 授、沖縄大学の桜井国俊名誉教授など、多くの大 学教授がその危険性を伝えようとしてきた。一般に、 マスコミは公式ソースのオウム返しを除けば、この話 を有意義な形で取り上げることにまだ消極的であ る。

カリフォルニア州はPFOAを致死的な発がん性物質 に分類している。ごく微量のPFOAへの暴露は、危 険な高コレステロール、膵臓腫瘍、肝酵素の増加、 ワクチン接種反応の低下、甲状腺障害、妊娠高血 圧症候群、精巣がん、慢性腎臓病と関連している。

米国国立環境保健科学研究所のリンダ・バーンバ ウム元所長が、飲料水中のPFOAの安全基準値を 0.1ppt以下にすべきだと述べてから約5年が経過し た。バーンバウム所長は、「データを見ると、膵臓腫 瘍は非常に低濃度のPFOAで発生している」と説明 した。

日本における膵臓癌の発生率、有病率、死亡率が アジアで最も高いことは驚くべきことではなく、日本 は今後も膵臓癌患者が大幅に増加すると予想され ている。

慢性腎臓病もPFOAと密接な関係がある。地域に根 ざしたいくつかのスクリーニング・プログラムに基づく 研究によれば、日本は慢性腎臓病の有病率が地球 上で最も高い国である。

確かに、膵臓がんや腎臓病は複数の要因によって 引き起こされるかもしれないが、特に日本がこれらの 発がん性物質を摂取している以上、これらの知見はさらなる精査に値する。

バーンバウム博士が5年前に警告して以来、米国環 境保護庁(EPA)は飲料水中のPFOAについて 0.004pptの暫定的な健康勧告を定めている。米国 にはまだ強制的な規制はない。

EPAの科学者が勧告値を設定し、政治的責任者が それを施行するかどうかを決定する。

日本の勧告値は50pptで、EPAの基準値の12,500倍 である。暫定的な健康勧告値はPFOSに対して 0.02pptであり、15,000種類あるPFASの中でPFOAが 最も致命的であるというアメリカの科学的見解を示し ている。

大阪府豊中市の水道水を検査したところ、4.9pptの PFOAが検出された。これは日本の一般市民にとっ ては大したことではないと思われるが、それでも米国 が危険とする数値の1000倍以上である。簡単な PFAS浄水器を設置することで、すべてのPFASから 水を浄化することができた。日本の環境省と厚生労 働省はもっと関与すべきだ。

一般に、日本中の小川や河川におけるPFAS汚染 は、水道水の汚染よりも健康への脅威が大きい。

表流水中のPFAS濃度を50pptとする日本政府の暫 定目標は、人の健康を守ることになりえない!わず かな量でも、水生生物への生物濃縮が始まる。その 結果、魚も人も毒されてしまうのだ。それでも、多く の人は明石川の有毒な水を飲まないので、これは 大した問題ではないと言うだろう。

このような記録的な濃度のPFOAは、多くの理由から 非常に危険である。その主な理由は、魚介類の種 によっては日本の勧告値50pptの何倍もの濃度で生 物濃縮されるからである。

たっぷりとPFOAを含んだ 下水汚泥が(有機肥料として)畑に撒かれ、汚染さ れた作物が育つ。牛肉、豚肉、鶏肉も汚染されてい る。 PFAS汚染を食べるか飲むかの違いはあるかと尋ね られた米国国立環境衛生科学研究所のリンダ・ バーンバウム元所長は、「いいえ、どちらも摂取経路 です。食べても飲んでも、PFASは体内の同じ場所

に行き、同じことをします。適切な魚介類に対する注 意喚起と、食品に含まれるものに対する規制が必要 です。」

PFOAは河川敷や土手を覆って堆積する。水が引く と、化学物質は太陽の光を浴びて乾燥し、粉塵と なって空気中に舞い上がり、私たちの肺や家に溜 まっていく。

お宅のホコリには何が入っていますか?

成人のPFOA暴露経路は主に食品である一方、子 どものPFOA暴露経路は粉塵である。汚染された水 がある地域では、飲料水が主な暴露経路となる。常 に(水よりも)食べ物の問題なのだが、日本の市民に 早くそのことに気付いて欲しいのだ。 日本は、PFASがもたらす脅威と政府の規制対応の 遅さに気づくのが遅れているかもしれないが、この メッセージは指数関数的に国民の間に広がってい るので希望は持てる。 香川真二、神戸市議会議員は、京都大学の小泉名 誉教授を招いて400人規模の会議を4月に神戸で開 催する予定である。香川市議は丸尾兵庫県議、著 名な環境活動家である小橋かおる氏も含む市民グ ループと協力している。 続く。

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ダウンズ法律事務所の継続的な資金援助に感謝します。彼らの協力なしには、このペースでレポートを作成し続けることはできませんでした。ダウンズ法律事務所は、消防士などPFASにさらされる可能性の高い人たちに法的代理人や血液検査を提供するために、複数の基地からなる連合を立ち上げるべく活動しています。

ミリタリーポイズンズとWILPFは、南フロリダでのPFAS海産物検査の費用を賄うための資金を募集し続けています。税金控除の対象となる寄付は、こちらからどうぞ。 あなたが食べる魚には、あなたの血液中には何が混入しているでしょうか?

本土各地のPFAS汚染データを発表

パット・エルダー

2023年11月20日

東京、新宿の神田川で釣り。水には何が、魚には何が?

ベテランズフォーピースのスピーキング・ツアーでは、2023年9月24日から10月10日まで、本土の20カ所でPFAS調査をした。対象は、地表水15カ所、東京の井戸水2カ所、神戸と大阪の水道水。下の表はその調査結果をまとめたものである。沖縄で学んだ教訓がここにも当てはまる。軍事施設でPFASが使用される場所に近い河川が最も高い値を示し、潮流のある海水から採取されたサンプルは最も低い値を示した。

米艦隊横須賀基地では、もっと高い濃度が検出される可能性があったが、米軍基地内に立ち入ってサンプル採取ができず、基地内の排水処理施設の排水口付近で採取した。そのサンプルの汚染が最小限であったことは喜ばしいことであった。採取した水は海水によって希釈されてしまう。在日米軍によれば、基地の廃水処理場から流れる水を浄化するために粒状活性炭フィルターシステムを設置したという。この結果から得られる教訓は、このような効果的な濾過システムを、日本中のすべての軍および民間の廃水処理施設で採用すべきであるということだ。それは多額の費用がかかる事業となるだろう。

リンクをクリックするとサンプリングの場所が表示される。

様々な場所での調査結果の要約は、この表の後に続く。

#  採取地      PFOS PFOA 合計 PFAS                                                     

5054 青森県三沢市 2               562.7 39.2 1,250.1                         

5059 東京都立川市の 井戸                           385.1 25.9 696.0     

5060 東京都国分寺市北町公園の井戸    183.3 24.1 436.9          

5034 徳島県月見ケ丘 51.8 6 146.9

5032 山口県岩国市三隅町 22.7 10.9 51.2

5050 青森県三沢市 1 16.1 5.2 47.8

5049 石川県小松市      6.2 6 18.3                              

5045 北九州市八幡西区神野原        3.1 2.1 15.5

5052 横須賀1 3.7 0 3.7

5047 山口県岩国市門前町     3.5 0 3.5

5056 京都府京丹後市丹後町袖師     0 2.1 2.1  

5048 徳島県松茂・月見ヶ丘海浜公園 0 0 1.8

5051 横須賀2 1.3 0 1.3

5053 横須賀4 1.3 0 1.3

5041 佐世保市寄津町 米海軍ゲート          1.1 0 1.1

5058 横須賀3 0 0 1.0

5033 長崎県 佐世保市佐世保川 0 0 0

5062 兵庫県 神戸市中央区 (水道水)   1.3 4 8.2          

5055 大阪府豊中市(水道水)      4.7 4.9 18.9                    

5057 大阪府豊中市(水道水(フィルター付)0 0 0

三沢基地の深刻な汚染

赤い×印は三沢基地の消火訓練場。青いXは、約500メートル離れた五川目堤防で水を採取した場所。この地域はPFASで著しく汚染されている。 この基地は航空自衛隊、米空軍、米海軍が共有している。

このサンプル地点の写真は消火訓練場から500メートルの地点で撮影された。

軍の焼却場、未処理の廃水流出口、埋立地から排出される地表水には、通常、日本でも世界のどこでも発ガン性のある高濃度のPFAS化合物が含まれている。PFASは地球を汚染しているのだ。この化学物質が魚に生物濃縮されることはひどく不都合な真実である。私たちは、魚の切り身に信じられないレベルのPFASが含まれていることを証明した。

ここで562.7 ppt のPFOSを含む合計1,250 ppt のPFASが検出されたが、私たちは驚かなかった。近くの姉沼ワカサギ釣り場や小川原湖は高濃度に汚染されている可能性が高い。

軍事施設には有刺鉄線の防護柵があるため、中にアクセスするのはしばしば困難であり、汚染源から数キロも離れて採取することもある。日本の学者や活動家は、環境媒体を調査したくても、日米地位協定が障害となり基地に立ち入ることが禁じられており、そのことについて頻繁に不満を述べている。ここでは、環境を汚染している基地が日米で共有されている。

欧米や日本では、基地の近くの河川や湖がPFASで汚染され、魚が毒されている。

日本人が口にする食品には、聞いたこともないような有毒なPFAS化合物がたくさん含まれている。

また、三沢川が海に流れ出る約2キロ手前で、16.1pptのPFOSが検出された。PFOSで最も問題なのは、魚に含まれる濃度が水中に含まれる濃度の2,000倍にもなる可能性があることだ。一方、日本では飲料水を50ppt以下に抑えようとしているが、これは人の健康を守るために必要なレベルよりも数桁高いと専門家は指摘する。

この地域の水と魚には何が含まれているのだろうか?

横田基地近くの2つの井戸が深刻な汚染状態に

東京の横田基地の滑走路から700メートルのところにある個人所有の井戸がPFASでひどく汚染されている。 米空軍は一切の責任を負わない。

東京西部にある日野の根木山幸夫氏は、横田基地に近い2つの井戸を検水してくれた。上記の基地に最も近い井戸では、PFOSが385.1ppt、PFOAが25.9ppt、PFHxSが160.1pptであった。この井戸の深さは地下15メートルだ。

根木山氏ら住民は「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」を結成。彼らは京都大学の小泉名誉教授と原田准教授に連絡を取り、住民の血液中のPFAS濃度を調べる調査を実施し、検査した数百人の平均値が20ppb以上であることを報告した。アメリカの全米科学アカデミーでは、このレベルは危険であり、懸念される病気を診断するために多種の臨床検査を行う価値があるとしている。

日本の行政当局が人々の健康を守るための措置を講じなかったため、この市民グループは主張を続けてきた。根木山氏らは、日本政府が基地の汚染を検査することを切望している。

米空軍はこの問題を避け続け、特定のメディアは問題の本質を歪め続けている。

最近の星条旗新聞のはぐらかし報道について考えてみよう。

「このグループは現在、日本政府に横田基地でPFAS汚染の基地内調査を実施することを望んでいる。ここでは過去に泡消火剤が使用され、2010年から2012年にかけてPFASの流出事故があったためである。

2020年8月15日付のアジア太平洋ジャーナルに引用された空軍の(汚染物質)流出報告書によると、2012年、横田の貯蔵タンクから約800ガロンの濃縮消火用泡が地中にしみ出た。」

この新聞社も他社も情報を歪曲し、人体への脅威を過小評価している。空軍は横田でも日本中の同様の基地でも、多くの用途に PFAS 発がん性物質を使い続けているのだ。PFASは杜撰に廃棄され、大気、土壌、地下水、地表水、そしてすべての生命を汚染し、それは決して消えることはない。河川の土手を覆い、空気中に舞い上がり、私たちの肺に取り込まれ、家の中にも溜まっていく。 焼却しても汚染は広範囲に拡散するだけだ。星条旗新聞は、12年前の単独事故を指摘する一方で、現在進行中の慢性的な使用と汚染に対処することを避け続けているのだ。

空軍は卑劣だ。星条旗新聞が報じたこれらの記事と同じような内容が、世界中で不安を抱えているコミュニティをなだめるために発表されている。

「すべてのPFASシステムはすでに封鎖されており、使用することはできない。

横田第374空輸航空団は、隊員とその家族、そして周辺地域社会の健康を守ることに全力を尽くしている...我々は、施設と環境の良き理解者として、関連するすべての協定、義務、手続きを順守し続ける。」

一方、ワシントンでは先週、国防総省が議会に対し、国家の安全保障はPFASの使用に依存していると述べた。米軍は何千もの武器や、PFASを含むクリーナー、ユニフォーム、バッテリー、マイクロエレクトロニクスなどの製品に依存している。 米国防総省の高官は、化学物質を排除すれば軍の即応性が損なわれると議会に語っている。彼らは議会には真実を話し、日本国民には嘘をついているのだ。

若松善英氏は、航空自衛隊徳島基地の滑走路近くの水域を検査する場所をかなり正確に把握していた。

滑走路に隣接し、海に排水される用水路から高濃度のPFASが検出された。日本政府は関与しなければならない。  左が筆者と一緒に写っている若松氏。

岩国海兵隊航空基地でも、海に排水される水路で22.7pptという高濃度のPFOSを発見した。

水道水

神戸の水道水から8.2pptのPFASが検出され、大阪の水道水からは18.9pptのPFASが検出された。この値を知っていたら、世界中の何百万人もの人々はこの水を飲まないだろう。大阪の飲料水に含まれるPFOAは、米国環境保護庁(EPA)の暫定的な生涯健康勧告値の1000倍以上である。注目すべきは、リセナのミニマル・クラスター浄水器で浄化した後の大阪の水を検査したところ、汚染が見られなかったことである。このことは、日本が飲料水からこれらの発がん性物質を速やかに除去できるという我々の見解を浮き彫りにしている。一方、表流水の汚染は、これらの化合物の多くが水生生物に生物濃縮される傾向があるため、日本の保健当局にとって最大の課題であり続ける。

私たちの努力の結果が、この差し迫った健康問題の社会的理解を深めることにつながれば幸いである。日本の県や 国は、あまりにも長い間この問題を否定してきた。


このデータの作成に協力してくれたベテランズフォーピースのレイチェル・クラークとベテランズフォーピース・ジャパンの形川健一に感謝する。この写真は石川県の小松基地でサンプルを採取する形川健一。彼は自衛隊の海軍指揮官として培った技術を駆使し、困難な場所からのサンプル採取を手伝ってくれた

レイチェル・クラーク、2023年10月、京都で公衆衛生の専門家で京都大学名誉教授の小泉昭夫博士とともに。

彼女は2016年から「ベテランズフォーピースの日本でのスピーキング・ツアー」を企画・実行している。彼女は今年も細部にわたって企画した。小泉博士は国内有数のPFAS研究者である。



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沖縄のPFAS汚染データを発表

パット・エルダー

2023年11月6日

米海兵隊キャンプ・ハンセンから海に流れ込む水は、沖縄県金武町のこの場所にある。ここで 54 ppt のPFOSが検出されたことは、すべての水生生物が汚染されていることを意味する。20年前、金湾のオゴダイ(姫鯛)から790万pptのPFOSが検出された。

2023年9月中旬、沖縄の数組の活動家と学者が、VFPスピーキング・ツアーの私たちと共に、沖縄全域の18箇所でPFASの表層水検査を行った。レイチェル・クラークは、2016年からVFPピース・スピーキングツアーを計画・主宰し、日本各地を巡っている

検査結果は以下の通り。場所をクリックするとグーグルマップで場所を確認できる。結果は、PFAS総量が最も高い値から低い値へと表示されている。この記事の最後に全結果を記した。

サンプ ル# 採取地点 PFOS PFOA 合算 PFAS

5064 倉敷 浸出水 236.5 316 1450.9

5070 宜野湾市伊佐キャンプフォスター 331.1 35.8 612.3

5043 金武町 54 5.9 95.3

5066           嘉手納屋良ムルチ 40.4 4.4 87.3

5068           北谷町塩川橋付近  30.5 4.3 80.2

5061 大工廻川  24.1 2.4 48.9

5037 金武町 弾薬庫側* 8.2 15.8 45.6

5046 浦添、小湾川 12.5 1.4 19.7

5063 うるま市 キャンプコートニー付近 5.6 0 9.3

5067 宜野湾市普天間 普天間川 4.6 1.1 8.4

5065 北谷町 普天間川 3.5 1.3 6.8

5039 浦添、港川 4.5 0 6.3

5040 宜野湾市 前原 海兵隊普天間 2.4 2.6 5

5044 浦添 3 0 3

5036 名護市 辺野古 0 0 3

5042 平得 石垣島 0 1 2.2

5038 与那国駐屯地 0 0 0

 5035 名護市 キャンプシュワブ 0 0 0

*のGPS情報はありません


PFOSとPFOAは,最も広く報告されているPFAS化合物の2つで、PFAS濃度全体の46%を占めている。その他のPFAS化合物は日本のメディアではほとんど報道されないが、今回の調査で沖縄の環境からは28種類のPFAS化合物が検出された。

それらの化学物質の威力

4年前、『インターセプト』のシャロン・ラーナーは、米国国立環境保健科学研究所のリンダ・バーンバウム元所長にインタビューした。沖縄テレビもバーンバウム博士にインタビューした。 バーンバウム博士は、PFOAと膵臓がんを関連づける有力な研究があるため、飲料水のPFOA濃度は0.1 ppt を超えてはならないと述べた。 それはつまり、これらすべての化学物質の威力に対する警鐘であった!

EPAはバーンバウムの警告を受け、飲料水中のPFOAについて、0.004 ppt という暫定生涯健康勧告を出した。この点で、EPAは科学の擁護者であり、それは素晴らしいことだが、EPAはいまだにいかなる環境媒体においてもPFASを規制していない。米国に追従する日本は、いまだにこの化学物質を法的に規制していない。

PFAS汚染を食べるか飲むかの違いはあるかと尋ねられたバーンバウムは、「いいえ、どちらも摂取経路ですから、食べても飲んでも、PFASは体内の同じ場所に行き、同じことをするのです。 魚類への適切な注意喚起と規制が必要です」と答えた。

PFOAは毒性が強く、沖縄では広く見られるが、PFOSは魚類に生物濃縮されるため、より大きな脅威となる。


これらの化学物質による人体への最大の影響は、PFASの生物濃縮、その中でもPFOSが食品、特に魚に生物濃縮されることである。

嘉手納基地の毒された魚


沖縄の嘉手納基地を流れる比謝川。2016年の分析では、この川の魚から22,000pptから111,000pptのPFOS値が検出された。 その調査によると、比謝川流域で分析された魚15サンプルのPFOS値の平均は64,000 ppt だった。この調査は、京都大学の田中周平准教授と国立研究開発法人土木研究所の鈴木裕識(ゆうじ)研究員によって行われた。

 今回の調査では、一部の魚にこのような結果も出ている:


N-EtFOSE           584,000 ppt
6:2 FTS                190,000 ppt
8:2 FTS                7,800 ppt

N-EtFOSEは炭素数12のPFAS化合物で、鮭に含まれている可能性がある。この化合物は実験動物の肝臓重量を増加させる。私たちはこの化合物についてあまり知らないが、知っておくべきである。このような恐ろしい化学物質について、進化する科学の一端を垣間見ることができる。

日本では、様々なPFAS化合物が鯛、鯉、カニ、カワハギ、ヒラメ、アジ、ゴカイ、メダカ、ムツゴロウ、ムール貝、カキ、イルカ類、砂魚、イワシ、スズキ、サメ、マスを汚染している。

魚の切り身に(その魚が生息する)水の数百倍から最大2,000倍までのPFOSが検出される。そのため、PFOSが 5 ppt しか含まれていない水でも、(そこに生息する)ある種の魚では10,000 ppt、場合によってはそれ以上の濃度になることもある。水中のPFOAがアサリなどの貝類に引き寄せられるのに対し、PFOSは魚類への生物濃縮が甚だしいのである。

残念だが、従来のPFOAとPFOSの代替化合物の多くも、水生生物に生物濃縮される可能性がある。

前述のキン湾に流れ込む水から採取されたキャンプ・ハンセンのサンプルからも、

PFHxS(魚類に生物濃縮される致命的な化学物質)が17.7ppt検出された。PFHxSはごく微量であっても、以下の病気に関連する:

- 子供の多動性注意欠陥障害

- 自閉症スペクトラム

- 出生時の体重減少

- 乳腺腫瘍

- 小児認知機能障害

- 2型糖尿病

- 脂質異常症

- 肝腫大

- 高血圧症

- 腫瘍

- 肝疾患

- 骨粗鬆症

PFNAも魚類に生物濃縮される。塩川橋からほど近い北谷町では17pptの濃度で検出された。この化学物質はごくわずかな濃度でも、PFHxSにも見られる以下のような病気の多くに関連している:

- 喘息

- 肝細胞癌

- 胆汁うっ滞

- 高ビリルビン血症

- 周産期死亡

- 思春期遅延

キャンプ・ズケランの排水から18.7pptの濃度のPFHpAが検出された。この化学物質は妊娠性糖尿病との関連で知られている。

病気や癌の治療を行う人は英雄であり、病気や癌の原因を指摘する人は国家の敵である。

以下がその結果である:

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米軍が沖縄をPFASで汚染

軍が使用する廃棄物置き場からPFAS化合物27種検出

超大国間の争いに巻き込まれ沖縄県民はなす術もない

パット・エルダー

2023年10月30日

沖縄は超大国の激しい対立の渦中にある。米軍にとっては、沖縄の土地と人々の汚染問題は、対中安全保障問題の、二の次なのだ。 

赤い印は、アジア太平洋地域で最大の米軍施設である嘉手納基地が使用している業者の、廃棄物置き場である。

この場所から憂慮すべきレベルのPFASが検出されている。



ご覧のように、嘉手納基地の滑走路に非常に近い地点で、私たちは、危険なレベルのPFASを発見した。

この地点には、米軍由来の様々な廃棄物から有毒浸出液が排出される。島はPFASでひどく汚染されているのだ。


何年もの間、いくつかの米軍基地からの廃棄物がこの場所に運び込まれてい

ここで浸出水を検査したところ、27種類のPFASが検出された。(赤い印)

9/18/2023 - 5:40 PM - #5064 倉敷米軍浸出水現場。

この場所で、2本のプラスチックパイプを通って致死量の浸出液が地中に排水されている。

私たちの水質検査では、総PFAS含有量が1,450.9pptであった。住民の皆さんに、このごちゃ混ぜの有毒土壌が意味することをよくご理解頂きたい。

照屋正史氏(左)は長年にわたり沖縄のPFASを研究してきた。倉敷の軍浸出水現場で、

「PFASからいのちを守る沖縄県民の会」

の池原秀明氏と合流。彼らは汚染の責任は米軍にあると主張する。

沖縄県環境部が2018年に沖縄市池原の産業廃棄物処理業・倉敷環境(現・倉敷)周辺で実施した地下水調査では、施設に隣接する倉敷ダム直下で高濃度のPFASが検出された。これらの調査結果は、沖縄の「インフォームド・パブリック・プロジェクト」(IPP)の代表である河村正美氏が情報開示請求によって入手した資料で明らかになった。川村氏のこの活動は、環境も人々の健康も全くお構い無しの米軍が及ぼす脅威を理解してもらうことに大きく貢献してきた。

当時の県の調査によると、PFOAは2,600ppt、PFOSは1,100pptと報告されている。

私たちのサンプリングでは、PFOAが316ppt、PFOSが236.6ppt、合計27化合物が1,450.9ppt検出された。米国環境保護庁(EPA)は、飲料水および地下水中のPFOAに対する暫定的な生涯健康勧告を0.004pptに設定している。沖縄の中心部で検出された316pptのPFOAは、この基準値より79,000倍も高い。

当然ながら、照屋氏と池原氏はもっと高い値を予想していたという。このような水の検査は、天候、水位、降水量、その他の一時的な要因に大きく左右されるものである。

日本は、この廃棄物置き場だけでなく、全国のすべての埋立地・投棄場で定期的な検査を実施すべきである。産業および家庭廃棄物処理場にも高レベルのPFASが含まれているものなのだ。

照屋氏と池原氏は、倉敷の処理業者が米軍と契約し、嘉手納基地、普天間海兵隊基地、キャンプ・キンザーから出た廃棄物を処理したことを記した報道について語った。調査報道記者のジョン・ミッチェルは、普天間飛行場から出た142トンの消火剤が倉敷の敷地に埋められたと報じた。

池原氏は、汚染水がポンプで汲み上げられ、廃棄物置き場に散布され、それが自然環境に戻って事態を悪化させていると考えている。「ゴミの山のそばには焼却炉があり、この汚染水を冷却水としても再利用している」と彼は説明する。 地元の人々の間では、冷却中に水が蒸発して大気中に放出されるという懸念もひろがっている。

軍廃棄物、産業廃棄物、家庭廃棄物には多量のPFASが含まれている。 これらの化学物質は、ほとんどの自治体の焼却炉では容易に分解されない。風下地域にあたる地域では、土壌や水中の毒性分析が急務だ。これは、PFASを含むゴミを定期的に焼却する日本本土全域では、さらに大きな問題だ。発がん性の粉塵は、土壌に、水に、そして私たちの肺や家に貯まる。 小川や川岸に堆積したPFASの粉塵は、太陽の光を浴びて乾燥し、風に乗って空気中に舞い上がり、問題を悪化させる。 ウェストバージニア州マーティンズバーグにある空軍基地付近の家庭の粉塵からは、PFOSとPFHxSの合算で、1千万pptを超える濃度が検出された。 私たちの子どもたちが危険にさらされている。人々は家を掃除するときにほこりが舞い上がらないように注意しなければならない。エアフィルターは頻繁に交換すべきである。

池原秀明氏は、私たちが報告した27種類の化合物の中で、PFOS、PFOA、PFHXS以外についてはご存じないそうだ。日本中どこでも同様であろう。この種の事柄はまず、報告されないものなのだ。

ここに挙げた27種類の化合物の多くは、泡消火剤に由来するものではない。その代わりに、クロムメッキからエンジン洗浄、ワイヤーコーティングに至るまで、多くの軍事用途でこの毒素が使われている。長年にわたり、これらの化学物質を含む廃材が粉砕され、埋められた結果、猛毒の浸出液が地下水や地表水を永遠に汚染することになった。

その結果をご覧頂きたい。図の左側は27種類のPFAS化合物の略称を示し、右側は毒物の濃度をppt(1兆分の1単位)で示している。

多くの場合、米軍と日本の当局が報告するのは、PFOSとPFOAという2種類のPFAS化合物だけである。これらの化学物質はもう生産されていないが、永遠にこの島に残留するかもしれない。合計で552.5 ppt の PFOSとPFOAは全体の38%にあたる。これらの化合物はすべて、ごくわずかな濃度でも人体に危険を及ぼすと考えられている。

その水のPFOA濃度は316 ppt だった。米国環境保護庁(EPA)は、飲料水および地下水中のPFOAについて、0.004 ppt の暫定的な生涯健康勧告値を設定している。316 ppt は米国の勧告値の79,000倍である。

また、PFOSの濃度は236.5 ppt だった。PFOSに対するEPAの暫定的な生涯健康勧告値は0.02 ppt なので、この水は米国の勧告値の11,825倍ということになる。

例として、マサチューセッツ州の飲料水および井戸水における6種類のPFAS化合物の強制規制値をご説明してみよう。これら6つの化合物の合算が20pptを超えると、州は自治体の水道サービスを停止する (MA 6)。

以下は、沖縄の中心部の地下水から検出されたMA 6に相当するレベルである。一方、日本は水中のPFOSとPFOAを50ppt未満にすべきであると提案している。ただし、それは法的な強制力のある規制値ではない。沖縄でも日本のどこでも法的規制値がまだないのだ。

PFOS         236.5         
PFOA        
316        
PFDA         
13.3     
PFHpA      
107  
PFHxS      
102.3 
PFNA        
120.6

Total           895.7    

食物連鎖は無脊椎動物から始まる。

このような化学物質の濃度が地下水や地表水を流れることが、一番危険なのだ!水生無脊椎動物が深刻な影響を受けていることは、地域全体が高濃度に汚染されていることを意味する。水生無脊椎動物とは、ほとんどの人が食べないような気持ち悪い這いまわる小さい生き物で、大概の人が直接食べるようなものではないが、このような微小生物は、より大きな魚の餌となり、その魚はいずれ私達人間の口に入るのだ。

魚の中には何がある?

カリフォルニア州はPFOSとPFOAを発がん性物質に分類しているが、米国政府はまだ 「危険物質 」とはみなしていない。 こんなに致命的なものを。

私は、このたび初めて日本を訪れ、一か月間滞在した。今年68歳の私は、(江戸っ子ならぬ)五代目のワシントン子。今回の訪日で、日本の文化や社会のあらゆる側面に深い感銘を受けた。中心街は活気にあふれ、魅惑的で、心地よかった。

私が感動しやすいのは、私の国が衰退の一路をたどっているからかもしれない。米国の交通システムや都心部の多くは劣化が甚だしい。それは、米国政府が嘉手納基地や世界中にある同種の施設に莫大な金を費やしていることと大いに関係があると思う。

街の中心部の美しさ、清潔さ、効率の良さに驚いた。人々はどこでも親切だ。日本は上手く機能している!時間通りだ。 私はそんな日本が大好きだ!

このPFASの危機を克服できる国が世界のどこかにあるとすれば、それは日本だ。米国では政治的な現実が進展を妨げているが、日本は違う。ここには希望がある。私が住んでいるメリーランド州南部では、あらゆるものが汚染されているにもかかわらず、海軍の責任について語ることはタブーだ。対照的に、日本のメディアは在日米軍の劣悪な環境破壊の実相を報じ始めている。

私の立場をわきまえた上で、あえて大胆なことを言わせていただきたい。日本の当局に、人々の健康を守るためにより強力な対策を講じて頂きたい。最初のステップは、PFASがもたらす危険性を日本国民に明確に伝えること。次のステップは、日本全国の土壌、堆積物、地下水、地表水、大気、水生生物、陸上生物におけるこれらの化学物質の存在に関する検査を実施するための、普遍的で強力な検査プロトコルを全国的に確立すること。

嘉手納浸出水現場で検出された様々な濃度の27種類のPFAS化合物が、大きな不幸をもたらす可能性がある。これらの化学物質の摂取で起こりうる病気の多くを、以下のリストでご覧頂きたい。

これらの化合物とその関連疾患はPub chem. で検索可能である。

倉敷環境の廃棄物投棄現場で発見されたPFAS化合物に関連する疾患:

  • 急性経口・吸入毒性

  • 喘息

  • 自閉症スペクトラム

  • 乳房新生物

  • 肝細胞癌

  • 心血管疾患

  • コレステロール問題

  • 認知障害

  • 胎児へのダメージ

  • 多動性欠乏症

  • 2型糖尿病

  • 脂質異常症

  • 湿疹

  • 胚性腫瘍

  • 肝臓肥大

  • 脂肪肝

  • 心臓病

  • 肝腫大

  • 妊娠中の高血圧

  • 高ビリルビン血症

  • 高血圧症

  • 免疫・消化器系疾患

  • 腎臓がん

  • 腎臓障害

  • 肝細胞腺腫

  • 肝障害

  • 肝臓疾患

  • 肝臓新生物

  • 低出生体重児

  • 臓器障害

  • 骨粗鬆症

  • 周産期死亡

  • 出生前曝露の遅発性影響

  • 前立腺がん

  • 思春期、遅延

  • 呼吸器系および皮膚刺激性。

  • 眼および皮膚の重篤な損傷

  • 重度の眼熱傷

  • 重篤な胎児発育障害

  • 単一曝露による臓器障害

  • 胎児の発育を遅らせる

  • 精巣がん

  • 精巣疾患。

  • 甲状腺の損傷

甲状腺障害は最重要課題である。  あなたの甲状腺は?

血液は? 日本の皆さん、血液について、何かなさってますか?

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横須賀基地PFAS汚染に関する日本メディアの報道

主要メディアはより良い報道をすべきである。人の健康がかかっているのだ

パット・エルダー

2023年9月19日

2022年7月2日:

  • 5月上旬に海軍基地東部の海沿いの排水処理施設で泡が見つかった。

  • この泡は海に流れ出た「可能性が高い。」

  •   この時点まで、米軍基地から泡が排出される場合、ほとんどが泡消火剤によるものであった。

  •  50ppt以上のPFOSとPFOAが検出された。

このような不完全で難読な報告は、米軍の常套手段であり、世界中で行われている:

  •   なぜ2つの化合物の正確な数値を公表しないのか?

  • 分析施設は 40~50 種類の PFAS 化合物を簡単に検出することができる。これらの化合物の濃度は、しばしばPFOSとPFOAを凌駕する。また、これらの化合物は人々の健康を害し、魚類に生物濃縮される可能性がある。

  • PFAS汚染に関する世論を泡消火剤に限定しておくのが、在日米軍の計画だった(米軍の他のPFAS汚染源からの目眩し)。

  •   彼らは、日本国民を汚染している泡消火剤に含まれる化学物質を取り除くと言っている。

  • 先進工業国のほとんどはすでに、完全に有効で環境に優しい、フッ素を含まない泡消火剤に切り替えている。


  •   下水処理場でのPFASの公表は、在日米軍にとって深刻な問題である。

  •   より広く、より浸透し、より体系的な問題を示唆している。

  • 米軍は、消火用の泡が大量に流出するという不幸な一度きりの出来事にもっと積極的に取り組んで(印象操作をして)いる。

  •   発がん性のある泡消火剤がなくなれば、一般人の心中にある懸念は、彼らの希望的観測で払拭されるだろう。

横須賀港市場の魚には何が入っているのか? 

  •   「横須賀市は国に対し、漁業関係者への説明も求めた」。

  •   「横須賀市は国に対し、横須賀の米海軍基地が『PFOSやその他の化学物質を保有・使用しているのかどうか』を明らかにし、漁業関係者に説明するよう求めた。」

  •   明らかに、横須賀市政府の誰かが、日本が直面している危機を理解し、それに対処することを躊躇していない。

  •   引用文がPFASではなくPFOSを指していることにご注目。

 米海軍の声明: 

  •   「我々は、地域社会と環境の安全と健康を守り、放出の原因を究明することに全力を 尽くしている。」

  •   この声明は、国防総省が設定した世界的な対応テンプレートに従っている。

  • 海軍は地域社会の一員であり、このような複雑な事態は深刻であり、汚染疑惑を真剣 に調査しているとい うのだ。

  •   もちろん、これはナンセンスだ。

  •   海軍はどこから放出されたかを正確に把握しており、おそらく多くの検査結果を持っている。

  • 独立した第三者の科学者がアクセスを許可されなければならない。

  • このような下水管は、PFASを含む排水を処理場から日本の河川に運んでいる。

  •   毎日新聞は2022年10月4日、8,592pptのPFOSが排水に含まれていると報じた。

  •   星条旗新聞は2022年11月1日、12,900pptのPFOAが排水に含まれていたと報じた。

  •   これらの放出の重大性を検証する。 

______________________________________________________________________

PFAS          濃度           日本の暫定基準             米国の暫定基準を                                                            

50を上回ったケース    上回ったケース*

PFOS           8,592                     172                                  429,600 ppt
PFOA        12,900                    258                                 3,225,000 ppt                                                              

* PFOS - 0.02    PFOA - 0.004 地下水と水道水.

______________________________________________________________________

  •   2022年11月1日、米海軍が横須賀排水処理場に粒状活性炭フィルター8基を設置したことが報じられた。

  • このフィルターによって、海に排出される水から発がん性物質の大部分が除去されることが期待できるため、これは好ましい進展である。

  • 一部の化合物はフィルターを逃れるかもしれない。

  • 日本政府、メディア、そして国民は、排水と汚泥の定期的な検査結果の公表を要求しなければならないし、日本中のすべての下水処理場が有害物質のモニタリングを受けなければならない。

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日本におけるPFAS調査 (4の1)

2023年9月

パット・エルダー

飲料水はPFASで汚染されており、地表水も同様である

日本地図に重ねたPFOSのモデル

PFOS(PFASの一種)の分子は炭素8個、フッ素17個、酸素3個、イオウ1個からできている。この物質は

世界を変えてしまった。

ジョン・ミッチェル記者が2016年に公表した勇気ある調査報道のおかげで、沖縄の飲料水汚染は米軍施設

から繰り返し放出されていた消火用のAFFF溶液に含まれるPFAS系物質が主な原因であることがわかった。こ

れは日本全国への大きな警鐘である。

AFFF: aqueous film-forming foam、[U1]泡消火剤溶液

PFASはPFOS、PFOAを含む数万種類の物質の総称

ミッチェル記者の先進的報道が発表されてからすでに7年も過ぎたが、自分たちの飲料水にPFASが少量とは

いえ含まれていて毎日それを飲んでいるという事実に日本の人々はあまり気づいていないように見える。水道

水だけでなく食物、特に魚類がPFASで汚染されており、私たちの健康にとってはより大きな脅威である。

まず飲料水の汚染に注目してみよう。京都大学の原田浩二准教授と東京新聞が数ヶ月前に行った神奈川県を中

心とする調査では、強制力はないものの、8か所で日本のPFAS指針値を超えるPFOSとPFOAが水道水、地下

水、それに地表水から検出されている。

日本のPFAS暫定指針値: PFOSとPFOAの合計で50ppt (地表水、地下水ともに)

このときの調査は相模原市(神奈川県)と町田市(東京都)で河川、湧水、井戸水を24か所から採水したが、

指針値を超えた8か所での濃度は55 ppt から 301 ppt だった(*1)。それ以外にも 30 ppt から 40 ppt の汚染が見つ

かった場所も多い。アメリカ環境保護庁(EPA)では飲料水の暫定基準をPFOSで 0.02 ppt、PFOAで 0.004 ppt とし

ている。アメリカの暫定基準と比べるとこの東京周辺の水は最大で7万倍以上も発ガン物質が含まれているこ

とになる。

(*1) 星条旗新聞社が原田氏に電話取材した記事 https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2023-07-

05/pfas-japan-army-sagami-depot-10643753.html (2023年8月25日閲覧)

日本ではPFASが人体へ入る経路は主に飲料水であるとの見方だが、その割には政府や自治体が飲料水の汚染

を減らす努力をあまりしていないようである。

PFASの毒性に対する日本での認識はまだ根付いていない。飲料水や農業用水、土壌汚染に対して強制力のあ

るPFAS濃度規制もまだ制定されていない。日本中で有害なレベルに汚染された飲料水が多いと思われるが、

次に人々の健康にとってさらに危険の大きい地表水と水生生物からの汚染について述べる。

地表水

飲料水のPFAS汚染が注目される中で、人びとの健康により大きな危険をもたらすのは大小の河川や入り江な

ど近海での汚染である。在日米軍施設から発生した地表水への汚染例は次のとおりだが、これがすべてではな

い。このような汚染は水生生物で生物濃縮され、魚介類として私たちの食卓に載ることを想像してほしい。

米空軍が2016年に11か所の消火設備を検査した結果を先のミッチェル記者が報じており、泡消火剤の

PFOA汚染は最大で9900万ppt、PFOS汚染は最大で95億pptに及んだ(*2)。

東京湾に面した横須賀基地(海軍、神奈川県)の下水から1万2900 ppt のPFOAが検出されたことを海軍は

2022年に発表した。

厚木基地(海軍航空施設、神奈川県)周辺の河川で249 ppt のPFOA/PFOSが検出された(*3)。この基地では

AFFFの放出が多回に及ぶと報告されている。

三沢基地(空軍、青森県)の格納庫内でのPFAS放出原因は、凍結したパイプの破裂だった(*4)。パイプから

の水は消火設備を通って流出した。排水処理設備の排水から採取した検体では 2,079 ppt の PFOA/PFOSが検

出され、この水が環境中に放出されていた。

1997年から2016年の間に、岩国基地(海兵隊航空施設、山口県)では泡消火剤の放出が少なくとも12回は発

生した(*5)。

星条旗新聞社が2023年7月に報じたところによると前年9月22日に厚木基地内部で泡消火剤を誤って1850ガロ

ン(約6100 リットル)流出させた(*6) 。

2005年に京都大学の小泉昭夫教授(*7)が米軍横田基地のやや下流にあたる多摩川上流下水処理場(*8)の排

出水から 440 ppt のPFOSを検出した(*9)。しかしこの処理場には40か所に及ぶ排水施設から下水が集まるた

め、PFOSの発生源は特定できなかった。

西野、他は多摩川(東京都)で150 ppt のPFOSを検出したと2014年に公表した(*10)。

(*2) アジア太平洋ジャーナルに掲載されたミッチェル記者の英文記事。https://apjjf.org/2020/16/JMitchell.html

(2023年8月25日閲覧)

(*3) 毎日新聞: 「有機フッ素化合物 地下水など37地点で国目標値超え 自然界で分解されず」2020/6/11、

https://mainichi.jp/articles/20200611/k00/00m/040/296000c (2023年8月27日閲覧)

(*4) 星条旗新聞社 https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2022-12-25/misawa-air-base-pfas-japan-defense-spill-

8544475.html (2023年8月25日閲覧)

(*5) 上記(*2) と同じ。

(*6) 星条旗新聞社 2023年7月13日 https://epub.stripes.com/docs/MID_MID_130723/MID_MID_130723.pdf (2023年8

月27日閲覧)

(*7) 職位は当時のもの。現在は名誉教授

(*8) 現在の名称は多摩川上流水再生センター

(*9) 上記(*2) と同じ。

(*10) 西野、他: 東京都内地下水における有機フッ素化合物の汚染実態と土壌浸透実験における挙動の考察、環

境化学25巻、3号、pp149-160 (2015)、 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jec/25/3/25_149/_pdf/-char/ja (2023年8

月25日閲覧)

沖縄県内の米軍施設からの流出と見られる地表水汚染

判明したうち一部のみを下記に示す。

嘉手納基地(空軍)

2013年にマンホールから、PFASを含むと思われる下水208 立方メートルがあふれ、基地に近い比謝川に流れ

込んだ(*11)。

ミッチェル記者が情報公開法を使って請求した情報によると、基地からは2011年から2015年までの間に各種

の泡消火剤が少なくとも 23 立方メートルは流出していた。

嘉手納町役場から200メートルほどのところにある池で2019年に9万ppt が検出された(*12)。

屋良のウブガー(湧水)は基地の北側から600メートルほどの位置にあり、今年の7月に 1,800 ppt の

PFOS/PFOAが検出されている(*13)。

基地内から流れ出る大工廻(だくじゃく)川で 1,462 ppt のPFOS 汚染が見つかったと2020年6月に環境省が発

表した(*14)。

基地近くの大工廻川で 1,379 ppt のPFOA/PFOSが検出された。

(*11) アジア太平洋ジャーナルに掲載されたミッチェル記者の英文記事。 https://apjjf.org/2016/09/Mitchell.html

(2023年8月28日閲覧)

(*12) 沖縄タイムス「嘉手納基地のPFOS汚染、米基準の最大1億倍 水源へ流出 高い可能性」

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/369927 (2023年8月25日確認、有料記事)

(*13) 星条旗新聞 https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2023-07-19/okinawa-pfas-testing-military-bases-

10784021.html (2023年8月25日閲覧)

(*14) 上記 (*11)と同じ。

普天間基地(海兵隊航空施設)

2005年から2009年までの間に基地では泡消火剤の流出事故が少なくとも3回あり、AFFFの量は合計で2,700リ

ットルになる。

宜野湾市にあるこの基地から2021年8月26日にPFASを含んだ排水が市の公共下水道に流出した。流出直後に

基地の外にある下水マンホールから県の担当者が採水したところ、PFOS とPFOAの合計濃度は 670 ppt であ

った。

基地の消火訓練ピットで2016年2月に地下水を検査したところ、PFOA の濃度は 1,800 ppt、PFOS は 27,000 ppt

だった。この地下水は下流で地表に出ている。

2020年4月10に海兵隊員がバーベキューに点火したところ、基地の格納庫消火設備が起動した。後日の調査

で海兵隊当局はAFFFと水の流出量を 232立方メートルと推定した。このときの泡で周辺地域も覆われた。基

地の[U2]司令官であるデービッド・スティール[U3]大佐は、雨になれば泡は消えるものだと地元に説明し

た。

宇地泊川(比屋良川)での PFOA/PFOS 総濃度は基地近傍で255 ppt、河口付近の海水では 36 ppt であった。

PFHxSやPFHxAなど、他のPFASも検出された(*15)。

2019年10月の沖縄県の調査でキャンプ・ハンセンからの排水中に 300 ppt のPFOSが検出された。

2021年6月にキャンプ・コートニーからPFASを含んだ水がうるま市内の天願川に流出した。このときの河川

水からは87,000 ppt のPFASが検出された。

(*15) 琉球新報 2020年4月30日 「普天間流出の泡、海域にも高濃度有害物 河口周辺調査」

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1115206.html (2023年8月27日閲覧)

那覇市の泡

那覇市内で見つかった泡 (写真: 琉球新報)

2021年2月26日に航空自衛隊の那覇基地から泡消火剤が流出した。基地の広報担当者は、流出した薬剤に毒性

や損傷性はほとんどないと述べた。

沖縄ではこの7年ほどの間にPFOSの理解が深まり、地表水や水生生物への影響は心配の種になっている。琉球

新報の記者が流出現場付近から泡を集めて京都大学の原田氏に分析を依頼したところ、結果はここにあるように、PFOSだけでなく他のPFAS物質も高濃度で検出された(*16)。

(*16) 琉球新報 2021年4月7日「空自、有毒PFOSなど指針の128倍検出 「ない」訂正し謝罪 泡消火剤流出」

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1300310.html (2023年8月27日閲覧)

検出されたPFAS 単位は ppt

(琉球新報)

PFOS 3,010
PFOA  3,380
PFHxS 3,040
合計 9,430

(この7月に私は家の近くのセント・メアリーズ川で泡を採取した。ここはメリーランド州南部で、ワシントンDCから南へ150キロメートルほどのところだ。岸に流れ着いている泡からPFOS は3,660.9 pptも検出され、 PFAS全部の濃度は 6,449.2 ppt だった。私の立っているところから550メートルほどの対岸にはパチュクセント川海軍航空施設のウェブスター・フィールド分署がある。)

日本各地のPFOS汚染を小泉教授や原田氏たちが調べてから20年以上も過ぎている(*17)。下の表はそのとき 5 ppt 以上のPFASが見つかった地点を抜き出したものだ。汚染の多くは各種の工場が原因になっている。

PFOS 濃度 (単位 ppt)

神通川 富山県 135.0

鶴見川 神奈川県 72.6

荒川(下流) 埼玉県 38.5

猪名川 兵庫県 32.3

斐伊 川 島根県 1 9.6

土器川香川県 15.8

荒川(中流)埼玉県 15.1

鈴鹿川 三重県 10.3

利根川 茨城県 10.2

野洲川 滋賀県 7.6

長良川 岐阜県 6.6

小貝川 茨城県 6.2

阿武隈川 福島県 5.5

霞ヶ浦 茨城県 5.3

(*17)

https://static1.squarespace.com/static/6005a180c8cd610112a8a795/t/64ea58f6ff80110a4d316e15/1693079799127/PFOSTama-

1.pdf (2023年8月27日閲覧)

2002年に内海で採取した海水ではほとんどが 5 ppt 以下であったが、大阪湾の甲子園近海(兵庫県)では22.5

ppt、伊勢湾の名古屋市近海(愛知県)では 20.6 ppt が検出された。なお、PFOS の水中濃度が1 ppt であっても

人体には有害といわれる。

PFASの危害を語るジョン・ミッチェル記者 (写真: 東京新聞)

日本の人びとは英国人ミッチェル記者の活躍に感謝してよいだろう。在日米軍の活動と飲料水の汚染が関係していることを見つけ出したのがミッチェル記者だ。彼は米国の情報公開法(FOIA) を使って米軍の内部文書を請求し公開させてきた。

横田基地内消防隊で2012年11月29日に発見されたAFFF濃縮液の大量漏出もミッチェル記者が公開させたものだ(*17)。私が川岸で見つけた泡はAFFF濃縮液を水で30倍ほどに薄めたものだが、横田基地からは濃縮液が 3,000リットルも漏出していた。この地域では私たちの世代を超えて毒物汚染が続くだろう。

(*17) 東京新聞オンライン記事 2023年6月11日 https://www.tokyo-np.co.jp/article/255950 (2023年8月26日閲覧)

2015年に発行の米軍が作成した環境評価報告書には、基地から漏出した物質が「最終的には深度75メートル付

近の地下水層に到達すると見られる」との記載がある。2018年度の東京都による調査では、基地から南東へ1

キロメートルほどの位置にある立川市内の井戸で1,340 ppt のPFAS が見つかった。東京都内では最高値だっ

た。

<第1部完>

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PFAS調査 (4の2)

2023年9月
パット・エルダー

地表水も魚介もPFASで汚染されている。

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日本地図に重ねたPFOSのモデル
PFOS(PFASの一種)の分子は炭素8個、フッ素17個、酸素3個、イオウ1個からできている。この物質は世界を変えてしまった。

日本の地表水や海面表層水や魚介中のPFASを調べた谷保(たにやす)氏をはじめとする研究者のグループは、水中のPFOS濃度が下の表のように水生生物で生物濃縮が始まるレベルであることを2003年に確認している(*1)。

PFOS濃度 (単位ppt)

東京湾 59

大阪湾 21

琵琶湖 7.4

有明海 11

(*1) Taniyasu 他、 “A Survey of Perfluorooctane Sulfonate and Related Perfluorinated Organic Compounds in Water, Fish, Birds, and Humans from Japan” (2003) https://citeseerx.ist.psu.edu/document?repid=rep1&type=pdf&doi=b116b030d277e7a01c2156c85c7778a5f4e5bfd2 (2023年8月27日閲覧)

PFAS汚染は他にも日本の沿岸各地で見つかっている(*2)。例を挙げると、釧路市近海(北海道)、陸奥湾(青森県)、八戸(青森県)、浄土ヶ浜(岩手県)、宮古湾(岩手県)、釜石湾(岩手県)、本荘マリーナ(秋田県)、相馬市近海(福島県)、永崎近海(福島県いわき市)、船橋市近海(千葉県)、山下近海(神奈川県横浜市)、渥美半島太平洋近海(愛知県)、名古屋市近海(愛知県)、甲子園近海(兵庫県)、宇品島沿岸(広島県広島市)、博多湾(福岡県)である。

(*2) JEPA (ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議)“Japan PFAS Situation Report” (2019) https://ipen.org/sites/default/files/documents/japan_pfas_country_situation_report_apr_2019.pdf (2023年8月27日閲覧)

また、北海道・東北・関東・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州の各地方で18の河川を調査したところ、すべてでPFASが検出され、半数以上で濃度が 40 ppt を超えていた。

横浜市で東京湾に注ぐ鶴見川から河川水と下水処理場排水を採取した調査では、排水から総PFASで 777.7 ppt が検出されている。

 汚染濃度(単位ppt)

PFOS 689.9
PFHxA 9.4
PFHpA 7.2
PFOA 24.9
PFNA 41.8
PFDA 4.5

総PFAS 777.7

生物濃縮

日本全国で地表水がPFAS汚染されている。アメリカではミネソタ州が湖水中のPFOS濃度を 0.05 ppt 以下に抑えようとしているが、これは湖水に棲む魚種の一部で、切り身を取り出すと水中のPFOSが数千倍にも濃縮されていた疑いが見つかったためである。その魚にとっては湖水のPFOS汚染が数千倍の濃度だったことになる。

上の表にある鶴見川から検出された6種の物質、PFOS、PFHxA、PFHpA、PFOA、PFNA、PFDAはどれも生物濃縮されることがわかっているが、その倍率はそれぞれに異なっている。また魚の種によっても切り身としたときの濃縮倍率は異なっている。PFASに分類される物質が数千種類もあり食用の魚種も数千種に及ぶことを考えると、それを逐一解明していては時間がかかりすぎる。したがって私たちが選ぶべき方針は、PFAS物質ごとの個別規制ではなく、PFAS全体を一括して規制することだ。PFAS関連企業やそれと利害の近い政府は一括規制を好まないようだが。

アメリカ・ノースカロライナ州環境保全局が公表している生物濃縮係数
地表水と切り身の両方からPFASが検出された場合のみ、濃縮係数が計算できる

ようやくここまで小さく切ったが、まだ0.08グラムもある。

アメリカ・ミシガン州のワートスミス空軍基地近くで捕れたパンプキンシード・フィッシュ(Lepomis gibbosus)の切り身からは 9,580 ng/g のPFOSが検出された。この基地は30年前に閉鎖されているが、“フォーエバー・ケミカル”と呼ばれるとおり、今でもPFOSが残留している(*3)。

●        写真のように小さく切った魚肉は0.08グラムになった。

●        これには766.4ナノグラムのPFOSが含まれる(9,580 ng/g × 0.08 g = 766.4 ng)。

●        欧州食品安全機関では1週間のPFOS摂取許容量を体重1キログラム当たり13 ナノグラムとしている(*4)。

●        これに従うと、体重が25キログラムの子どもが摂取して“安全”かもしれないのは、1週間に325ナノグラムまでである(13 ng/kg × 25 kg)。

●        この子は1週間に秤の魚肉の半分だけ食べてもよいことになる。

(*3) https://www.militarypoisons.org/s/Fish-Database-2.xlsx (2023年8月28日閲覧)
(*4) https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2018.5194 (2023年8月28日閲覧)

上に記したノースカロライナ州の生物濃縮データを使って、東京湾の魚がどれほどひどい状態なのかを想像することができる。鶴見川の水でPFOS濃度が689.9 ppt なら、魚の切り身は100万ppt 以上にも濃縮されるだろう(1,539 × 689.9 = 1,062,533)。東京湾にはこれよりも低い濃縮を示す種類の魚もいるだろうが、飲料水の汚染が1桁や2桁や、多いときでも3桁の ppt であることを考えれば魚の汚染レベルはそれより何桁も高いことに注目すべきなのだ。

さらに、PFOSに限らず他のPFAS類についても、魚だけで生物濃縮が起きるわけではない。トリのレバーから 67,000 ppt が検出されたし、ブタのレバーでは 54,000 ppt、ウシのレバーでも 34,000 ppt が検出されている(*5)。食肉だけではなく、イヌの血液からもPFOSが 25,000 ppt とPFHxSが 10 ppt 検出されており、イヌもヒトと同じように病気になっている。

(*5) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18439642/ (2023年8月28日閲覧)

アメリカでは軍施設の近隣住民に、犬へ「水たまり」の水を飲ませることを禁止しているところもある。一方でペットフードは大半がPFASで汚染されている。

日本の魚介類汚染

20も前に、つくばにある産総研の谷保佐知氏たちは琵琶湖や沖縄の金武湾の魚から高濃度のPFOSを見つけ出していた(*6)。

(*6) 上記(*1)と同じ。

琵琶湖で捕獲したブルーギル(Lepomis macrochirus)の血液中から834,000 ppt が検出された。金武湾のヒメダイからは肝臓中に 7,900,000 ppt のPFOSが検出されている。魚の体内で濃縮されたこの発がん物質の濃度は、横田基地(米空軍、東京都)が公共水道から受け入れている飲料水で検出された8.2 ppt のPFASと比べて100万倍に近いものだ(*7)。もちろん日本では外来種のブルーギルを食べる人はほとんどいないだろうが(*8)、それにしてもこの濃度の高さは驚異的だ。ブルーギル以外の魚種で同じレベルに達することもあるだろう。このデータを見れば、日本の役所はPFAS汚染対策の方針を改めるべきだといってよい。

(*7) https://www.yokota.af.mil/Portals/44/Documents/Environmental/2022%20Drinking%20Water%20Annual%20Consumer%20Confidence%20Report.pdf
(*8) https://www.nationalgeographic.com/environment/article/the-prince-the-mayor-and-the-us-fish-that-ate-japan

ブルーギルの塩焼き

飲料水の汚染と食物の汚染とでは影響が違うと思う人がいるかもしれない。米国環境衛生学国立研究所の所長だったリンダ・バーンバウム氏は「いいえ、どちらでも摂取経路は同じです。飲もうが食べようがPFASは同じところを通って同じ結果を引き起こします。食物汚染を規制するため魚介にも適正な処置が必要です」という。

谷保氏たちは測定した肝臓と血液のPFOS濃度を論文で公表している。下の表はその抜粋を加工したものである。飲料水の全国指針濃度である 50 ppt と比較しやすいように、表では単位を ppt に合わせてある。

日本では河川水と飲料水に PFOSとPFOAの合計で50 ppt の基準が設定されているが、下水に投入されるPFASは規制されていない。魚類のPFASもまったく規制されていない。

PFOSやPFOAといった旧式のPFAS類は魚の体内で減少しているが、別種の毒物が増えている。

2015年に公表された論文によると、食品原料となる北海道産のタラでPFOS汚染は減少している。炭素原子8個のPFOSほとんど製造されなくなり、ヒトの血清中でも濃度は下がってきている。これに対してPFASのうち炭素原子が9個以上のものは東アジア地域で魚の体内でもヒトの血清中でも濃度は上がり続けている(*9)。

(*9) https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0269749115000093?via%3Dihub

論文の研究者たちは食料として魚介の摂取が人体へのPFAS曝露の大きな部分を占めており、健康被害につながると指摘している。

米国海軍は全国でポスター掲示式の地元説明会を開き、PFOSもPFOAもヒトの血清では減少していると宣伝している。しかし、その先にある問題には触れていない。

人体中のPFAS

●        アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、合衆国民の大多数からPFASが検出されるだろうとモニタリングに基づいて推定している。

●        PFOSおよびPFOAは使用されなくなったため、合衆国民の血清中濃度は減少している。

●        PFAS類の一部は体内で長期に滞留する。

●        体内のPFASを減少させるための標準的治療方法は存在しない。

 <第2部完>

 

日本におけるPFAS調査 (4の3)

2023年9月
パット・エルダー

PFASは魚から人間の血中へ

日本地図に重ねたPFOSのモデル
PFOS(PFASの一種)の分子は炭素8個、フッ素17個、酸素3個、イオウ1個からできている。この物質は世界を変えてしまった。

PFOSの3次元構造モデル

PFOSとPFOAが人体に入る経路や、他の血液指標との関連を山口美輪氏たちが調べ、2013年に論文発表している(*1)。15の都道府県に住む16歳から76歳までの男性307人と女性301人について、食事内容の調査と血液の検査を行った。

(*1) https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1539/joh.12-0264-OA?src=getftr

この研究報告によると、食物のうち魚の煮物、刺身、近海魚の摂取と血中のPFOS濃度との間に有意な正の相関があった。つまり血中PFOS濃度は魚の摂取に関連していることが伺われるのだ。

研究は今から10年前のものである。魚体内のPFASも「不都合な真実」となったのである。

嘉手納基地の汚染魚

比謝川に嘉手納基地(米空軍、沖縄県)の水も集まってくる。2016年にここの魚で 22,000 ppt から 111,000 ppt のPFOSが検出された(*2)。このとき比謝川流域から採取した魚検体15個でPFOSの平均濃度は 64,000 ppt だった。調査は京都大学の田中周平准教授、土木研究所の鈴木裕識研究員たちが行ったものだ。

(*2) 琉球新報 「水源に生息する魚類から有機フッ素化合物PFOS 710倍 汚染源は泡消火剤の可能性 京大准教授ら比謝川を調査」 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-983756.html (2023年8月30日閲覧)

比謝川に生息する魚類、PFOSで高濃度汚染
環境省が2015年に国内17都道府県で調査した魚類の含有量中央値の約710倍
京大准教授ら比謝川を2016年に調査
2019年9月5日 琉球新報

N-EtFOSEはPFASの一種で、ひとつの分子の中に炭素原子が12個ある(*3)。テリヤキ・サーモンを食べたらその中に入っているかもしれない。実験動物にN-EtFOSEを与えると肝臓の重量増加が見られた。この物質ではわからないことが多いが、よくわかっているべきなのだ。

(*3) https://jglobal.jst.go.jp/en/detail?JGLOBAL_ID=200907038394472600#{"category"%3A"7"%2C"fields"%3A%5B{"op"%3A"AND"%2C"nm"%3A"SNID"%2C"vals"%3A%5B{"v"%3A"J195.334F"%2C"m"%3A1}%5D}%5D} (2023年8月30日閲覧)

日本でPFAS系物質の汚染が見つかっている水生生物は、ネズミイルカ属、コイ、マス、メダカ、タイ、カワハギ、ヒラメ、アジ、ハタハタ、トビハゼ、イワシ、スズキ、サメ、カニ、カキ、ムラサキイガイ、ゴカイである(*4)。

(*4) JEPA (ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議)“Japan PFAS Situation Report” (2019) https://ipen.org/sites/default/files/documents/japan_pfas_country_situation_report_apr_2019.pdf (2023年8月27日閲覧)

鳥類やその他の陸上生物も、野生か家畜かによらずPFASの汚染が見つかっている。例を挙げると、ウマ、ヤギ、ブタ、イヌ、タヌキ、野生のネズミ、ワシ、オオタカ、ハイタカ、チョウゲンボウ、アオバズク、フクロウ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ニワトリ、ダイサギ、アマサギ、ツミ、カモメ、ウ、マガモ、オナガガモ、ハクチョウ、カメ、である。

北海道で浜に打ち上げられたイシイルカとネズミイルカでは肝臓から平均して 573,000 ppt のPFAS総濃度が検出されている(*5)。

(*5) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29149719/ (2023年8月30日閲覧)

ネズミイルカ属の肝臓でPFASの濃度が高くなるのは当然かもしれない。ネズミイルカ属はニシン、タラ、シロギス、サバ、イワシなどを食べてており、それはどれもPFASで汚染されているからだ。

この発がん物質は消えない。

ネズミイルカ属の個体が死んでもPFASは環境に残留する。PFAS汚染されている死骸を直接食べる水生生物もいれば、分散した破片を摂取したり、摂取した生物が上位の摂食者に食べられたり、その排泄物も摂取される。排泄といえば、地上の海軍基地から出る下水処理水に含まれる人間の排泄物も水環境にPFASを加える要因だ。海軍基地に環境規制が実質上適用されていない地域は、アメリカではメリーランド州とハワイ州だが、ドイツ、日本、その他の地域でも規制がない。海軍は何でも好きにできてしまう。

アメリカ、ワシントンDC地区

ワシントンDCに近いバージニア州のポトマック川に隣接するマウント・バーノン・プランテーション跡と旧ジョージ・ワシントン邸。この写真はメリーランド州の範囲になるピスカタウェイ川の河口付近でカヤックから撮影したものだが、ここでも魚類はPFASで著しく汚染されている。

PFASは人の健康を蝕む大問題だが、アメリカのほとんどの州では日本と同様に対策が進んでいない。しかし中には対策を始めた州もある。残念ながら私が住んでいるメリーランド州は対策のない州だが、ピスカタウェイ川の集水域内にアンドルーズ統合基地があり、漁獲について1件だけ注意勧告が出ている。基地の滑走路からも流れ込んくるこの川の水を私が2021年9月に調べたところ、PFAS全体では2,781.8 ppt、PFOSに限れば  894.7 ppt が検出された。メリーランド州の環境局はこの河川水にはPFASが 3,193 ppt 含まれていると発表している(*6)。

ワシントンDCに近いバージニア州のポトマック川に隣接するマウント・バーノン・プランテーション跡と旧ジョージ・ワシントン邸。この写真はメリーランド州の範囲になるピスカタウェイ川の河口付近でカヤックから撮影したものだが、ここでも魚類はPFASで著しく汚染されている。

PFASは人の健康を蝕む大問題だが、アメリカのほとんどの州では日本と同様に対策が進んでいない。しかし中には対策を始めた州もある。残念ながら私が住んでいるメリーランド州は対策のない州だが、ピスカタウェイ川の集水域内にアンドルーズ統合基地があり、漁獲について1件だけ注意勧告が出ている。基地の滑走路からも流れ込んくるこの川の水を私が2021年9月に調べたところ、PFAS全体では2,781.8 ppt、PFOSに限れば  894.7 ppt が検出された。メリーランド州の環境局はこの河川水にはPFASが 3,193 ppt 含まれていると発表している(*6)。

(*6) https://mde.maryland.gov/PublicHealth/Documents/Pisctaway_PFAS_Study_Final.pdf (2023年8月30日閲覧)

オオクチバスをかかげる妊婦さん。人間の生命もバランスの中にある。

ピスカタウェイ川はワシントンDCから10キロメートルほど下流でポトマック川に合流している。メリーランド州政府では、妊婦または妊娠の見込みがある女性がこの川で捕れたオオクチバスを1ヶ月に3回まで消費できるとしている。そうでない人はいくらでも食べられることになっている。オオクチバスは川を挟んだ東西どちらの地域でも貸切クルーズ船や釣り客に人気がある。

メリーランド州の環境局では魚の汚染調査結果を公表しており、切り身から 94,200 ppt が検出されている(*7)。連邦政府では飲料水中のPFOSとPFOAの規制レベルを 4 ppt に制限する計画を発表しているが、その一方でひどく汚染されている魚の摂取を制限するつもりはない。ポトマック川のワシントンDCより上流で捕れたコクチバスの血液中では 574,000 ppt が検出されている(*8)。

(*7) 上記(*6)と同じ。
(*8) https://www.bayjournal.com/news/fisheries/forever-chemicals-found-in-chesapeake-regions-freshwater-fish/article_789c01cc-e6d6-11ea-b4a5-c7a15055b4a8.html (2023年9月1日閲覧)

国防総省の見解

PFAS汚染について、在日米軍やその他の機関は“心理戦”を展開しているようにみえる。2023年2月3日に星条旗新聞による「東京の[米空軍]基地下流の住民で血液中から高い濃度のPFASが見つかった」という不都合な報道があったとき、空軍では次のように発表している(*9)。

(*9) https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2023-02-03/pfas-contamination-blood-tama-tokyo-9025376.html

(2023年9月1日閲覧)

横田基地(米空軍)の広報官ダニー・レンゲル中尉は星条旗新聞の取材に対してメールで「空軍は地域住民のウェルビーイングを重要事項ととらえており、日本国政府との協調のもとで国際的規則をこれからも遵守していく」と回答した。

レンゲル中尉は続けて「横田空軍基地は地域住民の健康と安全を慎重に考慮した上で作戦行動を続けていく。泡消火剤(AFFF)システムはすでに使用中止しており、数年以内に統合契約によってシステムは撤去されることになっている。横田の水源は飲料水安全基準に準拠するための定期的な検査が行われており、当基地では飲料水水質報告書を毎年公表している」と述べた。

空軍はこのような事例でめったに見解を発表しないので、その点ではすぐに中尉からメールの返信が星条旗新聞に届いたことは画期的だ。しかしその内容には“国際的規則”なる言葉が入っている。

これは冗談でしかない。空軍は自らの“規則”だけを遵守しているのだ。

沖縄大学名誉教授の桜井国俊氏は“有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会”の共同代表を務める。連絡会の名前が語るとおり、桜井氏も事態を重く見ている。

桜井氏は、日米地位協定があるため米国は隷属する日本に対しての責務を自ら決めていると説明し、さらに「1960に結ばれた地位協定こそが問題なのです。事態の解決はまず汚染の発生源を特定するところから始めなくてはいけません。しかし実地調査には在日米軍の許可が必要なのです」と話している。

米空軍は自らの犯罪的行為を認めず、日本の当局者が環境検査のための立入を要請してもことごとく拒否している。

先のレンゲル中尉は、横田基地のAFFF泡消火システムは使用中止しており、数年以内にはシステムも薬剤も撤去すると言っている。レンゲル中尉は土中や地下水や地表水の長期的汚染を除去する計画を公言できるのだろうか。

日米ともに、環境や保健など防衛以外の部局は米軍の方針に追随しており、公衆衛生上は飲料水の汚染だけに注目する傾向がある。しかし、職業外のPFAS曝露は主として魚介の摂食によることを米軍自身が知っているに違いないし(*10)、しかもこの真実は隠されたままだ。

(*10) https://cswab.org/wp-content/uploads/2018/08/Fish-Consumption-and-PFAS-Christenson-et-al-2017.pdf (2023年9月1日閲覧)

問題は魚だ

欧州食品安全機関(EFSA)の推定では、大人のPFOS曝露のうち最大で86%は魚介類の摂食によるものだった(*11)。

(*11) https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2018.5194

米軍は基地周辺住民からPFAS問題を突き付けられると、基地内も周辺地域も、飲料水のPFAS濃度は2016年に米国の環境保護庁(EPA)が生涯保健指針として設定した 70 ppt よりも十分に下回っていると主張した。しかしEPAはその指針設定のあとに暫定保健指針としてPFOSで 0.02 ppt、PFOAで 0.004 ppt というずっと低い値を設定したのだが、米軍はそれを無視している。

基地周辺で自己所有の井戸から水を飲んでいる人は、大量の毒物を摂っていることになる。

人体に入るPFASのうち公共の水道水によるものはわずかな部分でしかない。地下水や地表水が基地内外ともにひどく汚染されているが、この毒物は地表でも地下でも容易に移動し、途中の生物にも害を及ぼしながら最終的に海へ流れ込む。私たちの健康にとって海産物の方が浄水場を通った水よりもずっと有害なのだ。

在日米軍による飲料水などのPFAS汚染

日本の米軍施設周辺で飲料水のPFAS濃度に関する公開情報を私たちが調べ始めたとき、食品中のPFASと比べれば飲料水は大した事ではない思っていた。

国防総省は米国内の基地も海外も、飲料水のPFOSとPFOAの合計量は 70 ppt 以下だと主張している。しかし、特に在日米軍は真に独立の第三者機関による基地内の飲料水検査を許可するべきである。

(*12) 在沖米海軍艦隊活動司令部『2020年 水道水質白書 キャンプシールズ』 https://pacific.navfac.navy.mil/Portals/72/Far_East/Documents/CCR%202020%20EN_JP%20Camp%20Shields.pdf (2023年9月3日閲覧)
(*13) 在沖米海軍艦隊活動司令部『2020年 水道水質白書 天願桟橋』 https://pacific.navfac.navy.mil/Portals/72/Far_East/Documents/CCR%202020%20EN_JP%20Tengan%20Pier.pdf (2023年9月3日閲覧)
(*14) 在沖米海軍艦隊活動司令部『2020年 水道水質白書 ホワイトビーチ』 https://pacific.navfac.navy.mil/Portals/72/Far_East/Documents/CCR%202020%20EN_JP%20White%20Beach.pdf (2023年9月3日閲覧)
(*15) https://cnrj.cnic.navy.mil/Operations-and-Management/Water-Quality-Information/Water-quality-reports/ (2023年9月2日閲覧)
(*16) 上記(*15)と同じ。
(*17) 上記(*15)と同じ。
(*18) https://cnrj.cnic.navy.mil/Portals/80/NAF_Misawa/Documents/CCR-2022-DFSP-Hachinohe-ENG.pdf (2023年9月3日閲覧)
その前年2021年の報告によると三沢基地でも検出されている。 https://www.misawa.af.mil/Portals/41/documents/Press%20Release/MAB%20Drinking%20Water%20CCR%202021.pdf (2023年9月2日閲覧)。
(*19) https://www.yokota.af.mil/Portals/44/Documents/Environmental/2022%20Drinking%20Water%20Annual%20Consumer%20Confidence%20Report.pdf (2023年9月2日閲覧)
(*20)
https://aec.army.mil/index.php/PFAS/JP/JAZA (2023年9月2日閲覧)
(*21) https://www.kadena.af.mil/Portals/40/images/Graphics%20and%20Buttons/2021%20Kadena%20Air%20Base%20CCR.pdf (2023年9月2日閲覧)沖縄県内の下記の湧水は浄水処理されていない。アラナキガーPFOS+PFOA 1,400 ppt

*22 屋良ヒジャガー PFOS+PFOA 2,100 ppt 

(*22) https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2022-12-08/okinawa-pfas-contamination-military-bases-8344635.html (2023年9月2日閲覧)
(*23) 上記(*22)と同じ。

国防総省では“各部隊の活動から生じるPFAS放出について認識しており、評価および対策も進められている。国防総省はPFAS放出から生じる許容不能なリスクおよび影響を発見し、それらの完全な除去に向けて積極的に対策している”と世界に向けて公言している。なかなか立派な態度だが、許容できるリスクや影響を決めるのは他ならぬ国防総省である。

PFASは猛毒だ。摂取で生じる“許容されるリスク”など、存在しない。

合衆国軍はこのようなプロパガンダ技術に長けている。しかもPFAS汚染の問題は熟知していて、その対策を軍事作戦のように扱っているようだ。世界中の人々と環境にこの発がん性の毒を撒き散らした被害額は何千億ドルにもなり、それだけでもアメリカ合衆国の“安全保障”に影響すると彼らは思っているのだ。PFASは飲料水を汚染しているだけで、その原因はPFAS系物質が泡消火剤に混ざっていたためだと、合衆国軍はうまく世界中の人々に信じ込ませた。

私たちはもっといろいろな経路でPFASという毒物を取り込んでいる。食物、特に海産物がひどく汚染されている。川も土も空気も汚染されている。この発がん物質を私たちは毎日、肺の中へ吸い込んでいる。血液も汚染されている。母乳も汚染されている。生まれる前から赤ちゃんは毒を与えられ、汚染された母乳を飲んでいるのだ。

愛媛県の調査によると母乳中のPFOS濃度は平均で 232 ppt、最高値は 523 ppt だった(*24)。日本の乳児は、アメリカの飲料水基準に比べて平均11,600倍も高いレベルのPFOSを母乳から摂取している。

(*24) 上記(*4)と同じ。 

基地ではPFASが多方面で、例えばクロムメッキ作業、線材被覆、エンジン洗浄棚の処理、などに使われている。在日米軍の廃棄物埋立場は有毒物だらけだ。泡剤やフィルタを発がん性物質ごと固めて、高濃度のPFASのまま電子機器などといっしょに埋められる。埋立時に大型ブルドーザでこれらを動かせば有毒物のチリが発生するし、そこに雨や雪が降れば有毒汚染水が地下にしみ込んでいく。一部は浅い滞水層から深くまで移動し、井戸で汲み上げられる。一部は表層水に戻ってきて、そこで水生生物に蓄積される。あるいは下水管にしみ込んで処理場に運ばれるが、その先の結果は同じことだ。

米軍施設で使っているPFASは空気も汚染する。川底の泥や堆積物が乾けば粉塵となって空中に上がり、私たちの肺に吸入され、家の中にも入ってくる。

軍施設や工場などで排水を“浄化”するためにエア・ストリッピング塔が使われるようになってきた。エア・ストリッピングとは排水などを空気流と接触させて、水中に溶け込んでいる有毒物質などを空気へ移すことで水から“取り除く”処理だ。水に溶けていたPFASはエアロゾルとして空中へ放出され、土と地下水と地表水を汚染する。

このような汚染が私たちの健康をむしばむプロセスを、つぎの第4部で調べることにしよう。

 

<第3部完>

 

日本におけるPFAS調査 (4の4)

2023年9月
パット・エルダー

日本人の血中PFAS濃度はとても高く、放置できない。すぐにでも致死的ながんやその他の病気についてスクリーニングを強く薦めたい人も多い。PFASは環境中のあらゆる場所に広がってしまっている。

日本地図に重ねたPFOSのモデル
PFOS(PFASの一種)の分子は炭素8個、フッ素17個、酸素3個、イオウ1個からできている。この物質は世界を変えてしまった。

2022年、東京西部の日野市に住む76歳の根木山幸夫氏は仲間とともに“多摩地域の有機フッ素化合物 (PFAS)汚染を明らかにする会”を立ち上げた。会のメンバーは京都大学の小泉教授や原田准教授と協力して住民の血中PFAS濃度の測定に取りかかった(*1)。

(*1) https://www.japantimes.co.jp/news/2023/05/28/national/japan-pfas-risks-growing-awareness/ (2023年9月2日閲覧)

今年の5月には血液検査をうけた650人のうち551人分の結果を公表した。この650人は東京の西部地区にある28市町村の住民たちだ。検査結果はミリリットル当たりのナノグラム (ng/mL) で示されていて、ppb (10億分の1)の単位である。

血清検体についてはPFOS、PFHxS、PFOA、PFNAのPFAS物質4種類が計測された。PFAS濃度がもっとも高かったのは国分寺市の住民で平均して 44.9 ppb であり、次が立川市の 29 ppb、府中市の 24.1 ppb と続いた。これらの地域は米軍横田基地から数キロメートル東に、つまり下流側にある。この空軍基地では1970年代からPFASを乱用し、廃棄してきた。

日本政府は国民の健康維持政策を策定せず、また血中PFAS濃度の高い患者の治療方針を制定して全国の医師に通知することもなかった。

私自身は全米アカデミーズが『PFAS曝露、検査、および継続的治療に関する指針』を制定するときにコミュニティ・リエゾン(コーディネーター)として情報を提供した。私たちのグループはアカデミーズのような学術機関を動かし、人体内のPFAS系物質濃度に応じて医師が治療を行う際の具体的指針を制定させることに成功した。さらにグループの中には食物のうち魚介類からのPFOSについての指針を要求する人たちもいた。血中濃度については私たちの1勝だったが、魚介類では1敗だった。

全米アカデミーズの指針には、PFAS系物質のうちの7種、PFOS、PFOA、PFHxS、PFNA、PFDA、PFUnDA、MeFOSAAの総和が濃度で 2 ppb を超えると、健康被害の発生するリスクが高まる、と記載された。

血中PFAS濃度を検査した患者での継続治療指針の内容は次のようになっている。

血清中PFAS濃度が 2 ppb 未満の患者について、医師は通常の治療を継続するべきである。

血清中PFAS濃度が 2 ppb 以上 20 ppb 未満の患者について、曝露経路が確認できるのであれば、特に妊婦については、曝露の軽減を指導するべきである。医療職は、

•    優先的に脂質異常症をスクリーニングすること。

•    毎回の妊婦検診において、妊娠高血圧をスクリーニングすること。

•    乳がんをスクリーニングすること。

血清中PFAS濃度が 20 ppb 以上の患者について、毎回の定常的診察の際に次の検査を実施するべきである。

•    18歳以上の患者については、血清中甲状腺刺激ホルモン(TSH)による甲状腺機能検査の実施。

•    45歳以上の患者については、腎臓がんについて症状または徴候の評価と尿検査の実施。

•    15歳以上の患者については、精巣がんと潰瘍性大腸炎について症状または徴候の評価。

原田氏と根木山氏の活躍で、検査した住民551人のうち300人は血中PFAS濃度が 20 ppb を超えていることがわかった。中にはすぐに医療処置が必要な濃度レベルの人もいた。濃度が高い人たちはPFASの摂取をすぐに止めなくてはけないし、いくつもの病気についてスクリーニングをするべきなのだ。

PFAS濃度が高い場合、受精能力の変化や早期の第二次性徴、低体重児の出産といった生殖系の被害の他に、肥満、糖尿病、免疫系の変化、心臓血管系および呼吸器系への影響、各種のがん、神経系と行動の異常などが発生する。胎児、幼児、小児は生理的成長段階にあるため、特に被害を受けやすい。

原田氏はジャパンタイムスの取材に対して、横田基地が東京西部地区のPFAS汚染の「唯一でないとしても原因の一つであることに間違いない」と語っており、汚染の全貌をつかむためにはさらに血液検査を拡大する必要も指摘している。また原田氏は公共水道から供給される水についても住民はよく調べる方が良い、汚染レベルがわかれば活性炭フィルタを使って飲料水からの曝露を減らすべきかを判断する材料ができる、とも述べている(*2)。

(*2) 上記(*1)と同じ。

横田基地の周辺地域はこの発がん物質で汚染されていることが、すでにはっきりと示されている。しかし、人体への侵入経路は飲料水だけではないのだ。

日本の他地域に住む妊婦も幼児も、血清を調べるとPFAS系物質で汚染されていた。2018年の調査報告では妊婦の血清からPFHxS、PFOS、PFOA、PFNA、PFDA、PFUnDA、PFDODA、PFTrDAが検出されている。そのうちの最高値はPFOSでは 30.28 ppb、PFOAでは 24.88 ppb、PFNAでは 13.19 ppb だった(*3)。愕然とする数字だ。

(*3) JEPA (ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議)“Japan PFAS Situation Report” (2019) https://ipen.org/sites/default/files/documents/japan_pfas_country_situation_report_apr_2019.pdf (2023年8月27日閲覧)

子どもたちは大丈夫だろうか。

これについては意外な関係がわかっている。母親の教育レベルとPFOA濃度とは正の関係があり、また世帯収入が多いほどPFOSとPFOA濃度も高い(*4)。

(*4) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29758015/ (2023年9月3日閲覧)

沖縄 -  有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会

宜野湾市(沖縄県)のコミュニティーセンターで“有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会”が行った検査の採血会場、2022年7月10日(写真: Toshio Takahashi)

沖縄の市民団体では6市町村の387人から血液検体を採取した(*5)。

(*5) 星条旗新聞 https://www.stripes.com/theaters/asia_pacific/2022-10-20/okinawa-pfas-pfos-pfoa-military-7752052.html (2023年9月3日閲覧)

下水処理場 

乾燥汚泥もPFASで汚染

米軍施設では航空機格納庫や整備工場の排水管も処理場につながっており、処理場はPFASの集まる巨大な中央駅のようなものだ。ここでは処理水だけでなく有毒物を含んだ汚泥も発生し、農地が汚染される。処理水はそのまま地表水や水生生物を汚染する。

処理場内でPFOSとPFOAはそれぞれ違った動き方をする。PFOSをはじめとするいくつかの物質は処理場排水から河川に放出されることが多い。PFOAを含むその他のPFAS系物質は汚泥に多く含まれて、肥料として農地に撒かれることになる。普通は処理場でPFASが除去されることはなく、そのまま土壌や水に排出されてしまう。

PFOSが含まれる処理場排水が小河川へ及ぼす影響

メリーランド州チェサピーク湾に面した海軍研究所チェサピーク湾分署で開催した海軍施設部隊司令部の復旧諮問委員会議事要録(*7)

(*7) https://www.navfac.navy.mil/Portals/68/Documents/Business-Lines/Environmental/Environmental-Restoration/NAVFAC-Washington/NRL-CBD/NRL-CBD_RAB_Minutes_2021May.pdf (2023年9月5日閲覧)

米国海軍が示した上の図では、左上から右下へ向かって流れる小川がある。赤いX印のところにこの施設の下水処理場がある。処理施設からの排水が小川に合流すると、その上流では 137 ppt だったPFOS濃度が下流で 1,230 ppt に上昇している。米国の各軍ではPFASの汚染がすべて消火泡からのものだと市民に信じ込ませようとしているが、この図はそうではないことを示している。

ニュースサイトのテラデイリーでは日本の下水汚泥が安価であると伝えている(*8)。下水処理場ができる何世紀も前から排泄物を下肥として利用した伝統があったし、ウクライナでの戦争によって化学肥料価格が上昇したため処理場汚泥の需要が増えている。

(*8) https://www.terradaily.com/m/reports/As_prices_soar_Japan_returns_to_human_waste_fertiliser_999.html (2023年9月4日閲覧)

AFP通信の記者は今年6月に排泄物が肥料として重用されている日本の現状に関連し、次のように報じている。

米国では、下水処理汚泥から製造される肥料にフォーエバー・ケミカルとも呼ばれるPFASが高濃度で含まれることについて懸念が高まっている。環境省の担当者は匿名を条件に、日本ではそのよう懸念が報道されていないが、土壌中のPFAS濃度に関する指針は存在しない、PFAS濃度を科学的で確実に測定する方法と規制方針について検討中であると語った。

車輪を再発明することなく、日本の役所は先を行く諸外国の機関がすでに運用している方法をコピペする方がよいのではないか。

レタスはだいじょうぶ? 

下水汚泥で汚染された土から作物がPFASを吸い上げる傾向を説明

日本政府は肥料としての下水汚泥使用を禁止するべきである。同時に土壌や作物のPFAS濃度を監視する確実な制度を構築するべきだ。

ごみ焼却

在日米軍は、これまでのPFASを含む泡消火剤からフッ素を含まない薬剤に切り替えているところだと発表している。その過程で旧製品は認可処分施設で焼却するという(*9)。

(*9) 星条旗新聞 https://www.stripes.com/branches/army/2023-06-16/pfas-firefighting-foam-military-bases-japan-10455170.html (2023年9月4日閲覧)

ここでもジョン・ミッチェル記者のおかげで、普天間基地(海兵隊航空施設)から排出されたAFFF泡消火剤濃縮液の少なくとも142トンが民間処理場で焼却されていたことがわかった(*10)。この処理場では濃縮液をまず焼却したのち、残渣を沖縄市にある埋立場で処分した。後になってこの周辺の地下水では非常に高濃度のPFASが検出されている。排出した海兵隊ではこの契約業者に焼却する廃棄物がPFASを含んでいることを通知していなかったが、それは“適切であった”とミッチェル記者に答えている(*11)。

(*10) アジア太平洋ジャーナルに掲載されたミッチェル記者の英文記事。https://apjjf.org/2020/16/JMitchell.html (2023年8月25日閲覧)
(*11) https://theintercept.com/2020/11/07/military-pfas-pollution-japan/ (2023年9月4日閲覧)

PFAS系物質の焼却はかなりの高温が必要である。一般の焼却設備ではそのような高温にならず、分解されない有毒物が残る。PFASを焼却するなど、狂気の沙汰だ。PFASを含んだ灰が飛散し、土壌と水に降り注ぎ、そこからまた汚染の連鎖が始まってしまう。

米空軍は今年の3月までに、全世界で1095か所のうち1038か所の施設でAFFF泡消火システムをすでに使用停止したと発表している(*12)。

(*12) 星条旗新聞 https://www.stripes.com/branches/air_force/2023-03-07/air-force-pfas-firefighting-foam-9392006.html (2023年9月4日閲覧)

チリ中のPFAS

日本では家庭の掃除機で捕集したチリに含まれるPFOSとPFOAの量が20年前に測定されている(*13)。すべての試料から非常に高い濃度が検出され、PFOSでは 2,500,000 ppt、PFOAでは 3,700,000 ppt にも達していた。

(*13) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14587845/

アメリカ疾病管理センター(CDC)でも2022年に類似の調査がウェストバージニア州で行われた。このときはマーティンズバーグ市内の基地に近い家庭から試料を採取した。結果は次のようなものだった。

アメリカではこのような警告を発すると、しばしば“ウォークイズム(過剰警戒)”とかデマだという反応がある。真剣に集めた根拠から科学的に健康被害の警告を出すと拒絶や揶揄で応えられるという、未知の新世界である。

だれもが自分で自分を守らなければいけない時代なのだ。

さて、日本の皆さん、その魚には何が入っていますか。あなたの血液には?

 

<第4部完>

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PFAS と原爆

表裏一体の人類存亡の脅威

パット・エルダー

2023年 8月6日

トリニティ - 1945年7月16日 - PFAS化学物質の発見と開発により実現した核実験

ギリシャ神話に登場するダイダロスとその息子イカロスの物語は、学ぶことの大切さを 伝える訓話である。ダイダロスは羽毛と蜜蝋で翼を作った。蜜蝋が溶けるのを恐れたダ イダロスは、イカロスに太陽に近づきすぎないよう警告した。だが興奮のあまりイカロ スは聞く耳を持たず飛び立ち、太陽に向かって勢いよく舞い上がった。羽はばらばらに なり、イカロスは落下して死んだ。

17世紀に描かれたダイダロスとイカロス - フラン ス、コンピエーニュ、アントワーヌ・ヴィヴェネ ル美術館

人類を危険にさらすかもしれない、制御も及ば ないほどの驚異的なテクノロジーとは、ドイツ の科学者たちによるウラン原子の分裂と、ニュ ージャージー州のデュポン社の化学者たちによ るPFAS化学物質の発見のことだ。

無理もない。人類に存亡の危機をもたらす核兵器もPFAS化学物質も、その開発と使用 には、切っても切れない関係があるのだ。

トリニティー - 1945年7月16日 PFASはマン ハッタン計画で開発された

J. ロバート・オッペンハイマーと彼の仲 間は、爆弾を作るためにウランを分離す る方法を必要としていた。そのためにフッ素ガスを使用した。科学者たちは間も なく、フッ素ガスが炭素分子と結合して フッ素化学物質を作ることを発見した。

マンハッタン計画は、これまでに作られたどの物質よりも優れた消火能力を持つ白い粉 末を完成させた。油脂、汚れ、水をこれまでにないほどはじく効果がある。それの軍事 利用を想像してみてほしい! PFASは決して分解しない。決して消えない。生物蓄積性 があり、発がん性が高い。 最も憂慮すべきは、女性の生殖器系を大混乱に陥れ

ることだ。小児疾患の原因にもなる。 私たちの免疫系を脅かし、COVID19やその他の病気の 蔓延に関係している。 それが私たちの体内に存在し、そして子どもたちはそれに汚染 された状態で生まれてくるのだ。

テフロン(ノンスティック)製品やスコッチガードの製造に使われ、1000種類もの製品に 防水加工が施された。今でも広く使われており、人々はそれが意味することを理解して いない。PFASは私たち全員にとって重大な問題なのだ。

2016年3月4日-ワシントンの硫黄島像を彷彿 とさせるポーズをとる消防士たち。 フロリ ダ州ハールバート・フィールドでの 実弾射 撃訓練で、巨大な火と戦う消防士チーム(写 真:米空軍)

軍は1968年以来、超高温の石油系火災を 消火するために消火用泡にPFASを使用し てきた。 (世界中にある)500の(米軍)基地が1970年代初頭から2020年代初頭まで毎月泡消火訓練 をしたとすると、500の基地×12ヶ月×50年で30万回の泡消火訓練になる。毎週消火訓 練を行っていた基地もあるので、その被害は計り知れない。

多くの場合、深さ30~60cm、直径約30mの穴を堀ったところに、ジェット燃料と油、 潤滑油、塗料を混入し点火後、消防士たちは泡で炎を消した。 消防士たちは発病し、その多くが膀胱がんや精巣がんになった。泡の発がん性物質は地下水や地表水に浸透し、飲料水だけでなく、食品、特に私たちが口にする海産物も汚染した。


30年も前に閉鎖された、ミシガン州のウルツマス空軍基地の地域住民は、 今でも地元 の魚や野生の生物を食べることができない。世界中でこの化学物質に食品が汚染されて いるのだ。 私たちの体内に蓄積され続ける猛毒の化学物質とは、不滅で、フッ素と炭素の結合で構 成され、体内や環境中で決して分解されないもである、という概念を理解してほしい。 何十億人もの人々が飲料水からこの物質を摂取しているが、私たちの体内にあるPFAS のほとんどは、この化学物質を大量に含む汚染された魚介類を食べることによってもた らされている。空気も、肺も、家も、発ガン性の粉塵で満たされている。

レイチェル・カーソンは後世の預言者である! レイチェル・カーソンの素晴らしい著書『沈黙の春』(1962年)の引用で締めくくろう:「もし私たちがこれらの化学物質と密接に関わり、食べたり 飲んだり、骨の髄まで取り込んで生きていくのであれば、その性質と力について何か知っておく必要がある。


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これって本当に危険なの?

パット・エルダー

2023年、7月29日

2023年7月10日、メリーランド州セントメリーズ市の私のビーチでこの泡を検査した。その結果、総PFASが6,449.2ppt、PFOSが3,660.9ppt検出された。

魚、カニ、牡蠣が汚染されているのに、海軍はこの環境犯罪に何の責任も取らない。私は対岸の海軍施設から1,800フィート離れた場所に住んでいるが、そこでは長年、PFAS入りの泡消火剤を定期的な訓練で使用していた。

地域住民たちは私の活動に懐疑的である。ここでは、地元住民が河川のPFAS問題をどのように見ているかを多くの電子メールやオンライン・チャットルームから、公平に要約する。

  • あなたは軍隊を憎んでいる。

私は誰も憎んでいません。私の家族はメリーランド州の植民地時代に遡ります。彼らは魚やカニ、カキを食べていました。今日、南部メリーランドの魚介類は海軍と空軍によって汚染されています。

  • それは海の泡であって、あなたが言っているような泡ではない!

私は水も泡も魚介類も検査しましたが、すべて汚染されていました。

  • あなたはおそらく、消化器のPFASフォームを使って記録を改ざんしたのでしょう。

海軍が使用している泡は、クラスBの石油系火災用です。私たちが公共施設で目にする消火器は、通常のクラスAの火災用です。

  • シーフードが不健康な食べ物なら、連邦や州の保健当局がそれに取り組むと思いませんか?

どうやら違うようです!メリーランド州では、この魚介類は食べても問題ないと言っています!メリーランド州は、94,200pptのPFOSを含むスモールマウスバスを月3回食べても問題ないと言っているのに対し、EPAは飲料水のPFOS濃度を0.02ppt以下に保つよう勧告はしているものの、義務づけはしていません。PFOSは致死的なヒト発癌性物質なのです。私が過去5年間に受け取った情報では、概して人々は食品や環境を「規制」する連邦政府や州政府機関を非常に信頼しています。

  • あなたは、州やEPAが言っていることよりも、あなたの発言を上に考えろというのですか?

はい、まったく卑劣です。

  • 私の家族はこの辺りで採れた魚介類をたくさん食べているが、何の問題もないよ。

本当にそうですか?PFASは体内でなかなか分解されません。あなたは血液検査を受け、これらの内分泌撹乱物質と関連する多くの病気のスクリーニングを受けたことがありますか?

サイクロピュア社の泡の分析結果では、23種類のPFAS化合物が検出されました。PFOSは3,660.9pptと報告され、総量の56.7%を占めています。サイクロピュア社の結果はこちら

憂慮すべきことですが、ここメリーランド州セントメリーズ郡のほとんどの人々はPFASについて聞いたこともなければ、問題視もしていません。彼らは海軍を信用しているのです。

ミネソタ州では一部の湖沼のPFOSを0.05pptに制限しています。これは、この化学物質が魚類に生物濃縮され、人間に有害であることを理解しているからです。私の裏庭にあるPFOSの3,660.9pptは、ミネソタ州の規制値を73,000倍も超えているのです。

軍がPFASに関する環境政策を決定する一方で、米国環境保護庁(EPA)はいまだに化学物質を規制していません。

2023年7月29日午後12時56分。12:03にセントメリーズ市で満潮が起きました。ほぼ毎日の泡の到着は、ここではある程度予測できるようになってきています。


日本の皆さん、魚に何が含まれているかご存じですか?

飲料水よりもはるかに多量のPFAS(有機フッ素化合物)です。

この秋、ベテランズ・フォー・ピースの訪日団は、米軍基地近くの川で、発がん性物質の 検査を行います。

パット・エルダー

2023年6月7日

日本産ティラピアの炙り焼き

日本のメディアは、人間が有機フッ素化合物(PFAS)を摂取する主な経路として、飲料水を大きく取り上げています。一方、欧州食品安全機関(EFSA)は、成人のPFOSの食事による暴露のうち、魚介類が最大で86%を占めると推定しています。PFOSは、14,000種類以上あるPFASのうちの一つの化合物で、魚類に生物濃縮されるため、非常に危険です

PFOSは、通常、化学物質を除去しない廃水処理場の流出液に含まれていることが多く、米軍基地で 米軍基地では、PFOSを含む物質の使用や廃棄が頻繁に行われています。

この化合物は、プラスチック製造、クロムメッキ、ワイヤーコーティング、エンジン脱脂に使用されています。日本は、魚のPFOS濃度について消費勧告を設定していません。

嘉手納基地近くの比謝川で行われた魚の検査

では、22,000pp tから111,000ppt のPFOSが検

出されました。ここで紹介するのは、上からソー

ドテイル、パールダニオ、グッピー、ティラピアの

4種です。

ソードテール、パールダニオ、グッピーは、一般

的に食用ではない小魚ですが、水生生物の健

康状態のバロメーターと言われており、それが

あまり良くないのです。大きな魚が小魚を餌に

するからです。

ティラピアはもっと大型で食用ですが、100,000ppt のPFOSを含んでいます。

 日本では、飲料水1リットルあたりPFOSとPFOAの合計で50ppt を暫定的な指針値としていま

すが、日本の専門家はこの指針値を引き下げるかどうかを議論しています。

ティラピアは、水の許容量の2,000倍も汚染されているのです。

米国の軍事施設の近くで捕獲された魚には、1,000万ppt 近いPFOSが含まれています。これ

は、人間の健康に対する大きな危機です。

ミネソタ州は、一部の湖でPFOSの基準値を0.05 ppt に設定しています。欧州連合は、内陸の

表流水で0.65 ppt の基準を設定しています。これは、化学物質が魚の組織に生物学的に蓄

積され、水中の濃度の数百倍、場合によっては数千倍にもなるからです。これらの日本の河

川から採取された魚は、高濃度に汚染されている可能性が高いのです。(出典:NHK)

私たちのチームは、米軍基地から地表水

へのPFOSの流出が疑われる地点から、

下流域の十数か所を特定しました。十分

な資金が集まれば、1カ所につき2つのサ

ンプルを採取したいと考えています。日本

のメディアは全国の地表水におけるPFAS

の濃度を報道していますが、米軍基地か

ら排出される発がん性物質の濃度につい

ては報道を怠っています。

水質検査には、シカゴのサイクロピュア社のテストキットを使用する予定です。キットは1つ

11,000円(79米ドル)です。どうかこちらにご寄付をお願いします。皆さんのご支援をお願いし

ます。日本の皆様、水質検査場所の選定にご協力いただける方、水質サンプルの採取や作業の記

録にご協力いただける方、ぜひご一報ください。


(写真) 滑走路の南400mに流れる三沢川。この写真は基地から2.5マイル(4km)離れた場所で撮影された ものです。海へ流出するPFASの濃度は?

テスト候補地一覧

キャンプ座間陸軍基地(神奈川県、座間市)

キャンプ富士海兵隊(静岡県)

MCAS岩国海兵隊基地 (山口県、岩国市)

佐世保海軍基地(長崎県・佐世保)

横須賀基地(神奈川県・横須賀)

海軍航空施設厚木海軍基地(神奈川県、厚木)

三沢航空基地(青森県、三沢)

沖縄

嘉手納空軍基地

鳥居駅陸軍基地

フォートバックナー陸軍基地

キャンプ・コートニー海兵隊基地(うるま市)

キャンプ・フォスター海兵隊基地(宜野湾市)

キャンプ・ゴンザルベス海兵隊( 沖縄県北部)

キャンプ・ハンセン海兵隊基地

キャンプ・キンザー海兵隊基地

キャンプ・レスター海兵隊基地(北谷町)

キャンプSDバトラー海兵隊基地

キャンプ・シュワブ海兵隊基地

宜野湾市の普天間海兵隊基地

キャンプ・マクチュリアス海兵隊(川崎村・うるま市)

読谷飛行場海兵隊基地

フリート・アクティビティ・沖縄海軍基地

米国の軍事施設の近くで捕獲された魚には、1,000万ppt 近いPFOSが含まれています。これは、人間の健康に対する大きな危機です。

ミネソタ州は、一部の湖でPFOSの基準値を0.05 pptに設定しています。欧州連合は、内陸の表流水で0.65 pptの基準を設定しています。これは、化学物質が魚の組織に生物学的に蓄積され、水中の濃度の数百倍、場合によっては数千倍にもなるからです。これらの日本の河川から採取された魚は、高濃度に汚染されている可能性が高いのです。

日本の特定都市における表流水中のPFOS (出典:NHK)

PPT   水域      都市    都道府県

 

1508  ダクジャク川  沖縄       沖縄県

  460  明石川上流  神戸市   兵庫県

  349     金山落             白井市       千葉県

  340     引地川             大和           神奈川県

  200     井川                 神戸           兵庫県

  180     正雀川             吹田市        大阪府

  146     宮の川             築上町        福岡県

  143     乙津川             大分市        大分県

  120     寺川                 桜井           奈良県

  108     荒子川             名古屋        愛知県

私たちのチームは、米軍基地から地表水へのPFOSの流出が疑われる地点から、下流域の十数か所を特定しました。十分な資金が集まれば、1カ所につき2つのサンプルを採取したいと考えています。日本のメディアは、全国の地表水におけるPFASの濃度を報道していますが、アメリカ軍から排出される発がん性物質の濃度については報道を怠っています。

シカゴのサイクロピュア社のテストキットを使用する予定です。

キットは1つ11,000円(79米ドル)です。沢山のサンプルを集めて信頼性の高いデータを作成したいのですが、資金不足が悩みの種です。皆さんのお力添えをよろしくお願いします。

どうかご寄付をお願いします*。

*ご寄付の際は、 コメント欄に「Japan/Okinawa Delegation」とご記入ください。

日本のみなさま、水質検査場所の選定にご協力いただける方、水質サンプルの採取や作業の記録にご協力いただける方、ぜひお知らせください。

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海軍は、レッドヒルの地下水サンプルに「PFASの超過はない」と発表

〜5,445pptの総PFAS値が検出された。致命的なPFOAレベルは、レッドヒルの第6坑口でEPA勧告レベルの6,250倍〜

パット・エルダー著

2023年1月30日

レッドヒルトンネルの第6坑口 写真 アンソニー・ハミルトン / ハワイニュースナウ

2023年1月27日(金)、海軍は2022年12月にレッドヒルトンネルの第6坑口付近で採取した地下水のPFASの検査結果を発表した。

海軍は、この結果はハワイ州保健局の環境行動レベルおよびEPAの地域スクリーニングレベルを超えていないとしているが、この発がん性物質(PFAS)の憂慮すべき濃度は、州および連邦政府による規制対応の緩さを浮き彫りにしている。

APPL研究所が作成したレッドヒルAFFF評価サンプリング報告書を参照(P. 660)

PFOA濃度は、EPAの生涯健康アドバイザリー0.004pptの6,250倍。上記の9つの化合物はすべて、海軍で使用されているアンスライトやその他の水性フィルム形成フォーム(AFFF)に含まれる成分である。PFOAは発がん性物質であり、PFAS化合物の中でおそらく最も致死性の高い物質である。癌の原因となり、妊婦と胎児の健康にも脅威を与える。

PFHxAへの暴露による影響は、主に潜在的な腎臓への影響に限られる。PFOAで観察されるよりもはるかに高い用量の時にその影響が見られる。

デンマークの研究では、高濃度のPFBAを含む人は、Covid-19を罹患した時に重症化する確率が2倍以上であることがわかった。PFBAは肺に蓄積されるので、デンマークの研究結果を裏付ける。

海軍は42セットの記録を公開した。ペンシルベニア州ピッツバーグの「エンバイロンメンタル・データ・サービス社」はそのうち17件のテストを作成した。カリフォルニア州クロビスの「APPL ラボ」は、9件。「ユーロフィンズ・エンバイロンメンタル・テスティング」は、地下水のPFAS濃度についての報告はないが、16件の検査を提供した。私たちは26のPFASデータを入手した。

海軍は地下水を飲んでも問題ないとは言っていない。その代わり、「DOH環境行動レベルとEPA地域スクリーニングレベルに基づき、海軍の地下水モニタリングサンプルの検証結果は、11月のレッドヒルでのAFFF流出事故後のPFASの値を超過していない」と述べている。これは2つの異なる事柄で、彼らの苦肉の策だ。

DODは米国の環境政策を決定している

「APPL ラボ」と「エンバイロンメンタル・データ・サービス社」による報告書は、採取した地下水の深さに関するデータを共有していない。「エンバイロンメンタル・データ・サービス社」が行ったPFAS地下水レポートも同様である。この情報は通常、現地調査に含まれるPFASの地下水濃度のレポートで共有されるものだ。海軍は、ハワイのどの施設についても、PFAS/AFFFの現地調査(の結果)を1つも発表していない。

PFASは、飲料水の帯水層を汚染する時限爆弾だ。この毒素は地下の土壌と深い帯水層にゆっくり浸透する。メリーランド州チェサピークビーチにある海軍研究所チェサピーク湾分遣隊の教訓から学ぶべきだ。彼らは1968年以来、PFASを含んだ泡で消火の練習をしてきたのだ。

海軍は数年前、チェサピーク・ビーチの地下水についてPFASのテストを行った。地表から20~30フィート(6〜9m)の地点にある23の監視井戸からサンプリングが行われた。その深さの井戸からは、171,000pptのPFOSが検出された。これらの毒素の多くが30フィート(9m)の深さまで浸透するには、最大で50年かかったかもしれない。地表から200〜300フィート(60〜90m)の深さから水を汲み上げる近くの井戸からは、17.9pptのPFOSが検出された。さらに深く掘り下げれば、PFASは見つからないはずだ。

海軍は検査した深さを教えるべきだ。EPAとDOHは、海軍に白状するよう圧力をかけるべきだ。他の州に比べて、私たちは知らないことが多すぎる。なぜハワイはこれほどまでに扱われ方が違うのか?

ダウンズ法律事務所の継続的な資金援助に感謝します。彼らの協力なしには、このペースでレポートを作成し続けることはできませんでした。ダウンズ法律事務所は、消防士などPFASにさらされる可能性の高い人たちに法的代理人や血液検査を提供するために、複数の基地からなる連合を立ち上げるべく活動しています。

ミリタリーポイズンズとWILPFは、南フロリダでのPFAS海産物検査の費用を賄うための資金を募集し続けています。税金控除の対象となる寄付は、こちらからどうぞ。 あなたが食べる魚には、あなたの血液中には何が混入しているでしょうか?

2022年12月20日 ハワイ州議会代表団から米国会計検査院へ送られた書簡が的外れな件

パット・エルダー
2022年12月20日

昨日(ハワイ時間12月19日)のハワイ州議会代表団(ブライアン・シャッツ上院議員、メイジー・ヒロノ上院議員、エド・ケース下院議員、カイアリイ・カヘレ下院議員)が米国会計検査院(GAO)の会計監査官へ、海軍のPFAS化合物の使用に関する調査を求めて書簡を送った。(ところが)その書簡から、代表団がこの問題に対して深く理解していないことが明らかなのだ。この問題の脅威を何年も真剣に受け止めてきた多くの州に比べて、ハワイの認識の遅れが、この書簡に反映していると言える。

このような書簡を正式に送る前に、代表団は草稿を専門家グループに送ってアドバイスを受けることを検討すべきだ。環境ワーキンググループ、シエラクラブの有害物質チーム、ノースイースタン大学、ハーバード大学公衆衛生学部などが良いだろう。彼らは喜んで協力するはずだ。

この議会書簡は、レッドヒル地下燃料貯蔵施設での海軍が使用しているPFAS化合物を含有するAFFF(水溶性フィルムフォーム)剤の調査を求めているが、一方で、島中の幅広い軍事活動での使用は無視されている。

この書簡では、流出した物質と量が「1,100ガロン(約4200リットル)のAFFF」と誤って言及している。 流出した量は1,300ガロン(約5000リットル)、物質はAFFF濃縮液であり、これは一部の人が主張するような意味上の些細な問題ではないのだ。

「どのような事故対策(浄化・修復)に取り組んだのか、海軍は、これらの被害を被ったコミュニティーとハワイの人々に対し説明責任がある」と書簡は述べている。だが、海軍による 浄化と修復が完了したことなど一度もないのだ。実際、これらの化学物質が「浄化」された海軍施設は、その意味が何であれ、国内に1つもないのだ。

この書簡の引用文は、これらの化学物質が公衆衛生にもたらす最大の脅威には触れていない。「さらに、これらの化学物質は極めてゆっくりと分解されるため、環境中や、化学物質を摂取したり暴露された動物や植物に蓄積される可能性がある。」確かに動植物は脅威にさらされているが、この書簡は汚染された食品による人間への脅威には触れていない。 ハワイの人々は、主に食べもの、特に魚介類からこれらの化学物質にさらされている。ハワイ州は魚介類のPFAS検査をしていないので、その結果を公表することもできていないのだ。

赤い点は、第一坑口のポンプハウスの位置。パールハーバーからわずか1000フィートの場所で、20万PPT(1兆分の1)を含むPFOSが漏えいした。(しかも)ポンプハウスの床は多孔質でできているのだ。

PFOSは、PFASの中でも特に致死性の高い化合物で、魚介類の体内で生物濃縮される。軍事基地近くの魚のヒレから1000万PPTのPFOSが検出され、EPA(環境保護庁)は0.2PPT以上の飲料水は危険であるとしている。

書簡には、「適切な対処をしなければ、これらの流出による被害は、何世代にもわたって人々の健康と福祉に悪影響を与え、生態系と環境に壊滅的な打撃を与えるだろう」と書かれているが、現実には、 最先端の改善努力をしても、人々は何世代にもわたって脅威にさらされることになるのだ。 特に、海軍は消火用泡だけでなく、クロムメッキや脱脂などの多くの工業用途でもこれらの化学物質を使用し続けていることを考慮すべきだ。
これらの化学物質を安全に廃棄する方法はないのだ。

特に次の部分は、ハワイの人々には恥ずかしい(間違いだ)。「PFOAとPFOSの両方が検出されたことが、2021年と2022年に海軍省が発表したJBPHH(パール・ハーバー・ヒッカム統合基地)の水質レポートで明らかにされた: PFAS 2021検出レベル 2022検出レベルがそれぞれ PFOA が3.2 ppb、 3.6 ppb。 PFOSが 5.5 ppb、 5.6 ppb。」とあるが、実は、これらの化学物質はPPT(1兆分の1)で検出されたのだ。 「PPB 」はparts per billion(10億分の1)の略である。1PPBは1,000PPTである。

ギュスターヴ・ドレによるラ・フォンテーヌの寓話「猫の鈴」の挿絵(1868年頃)

次の部分は、代表団の考えの甘さを露呈している。「国防総省と海軍省は、現在進行中および過去のPFAS/PFOAとAFFFの暴露事象への対応について独自の検討を続けるべきである。同時にGAO(米国会計検査院)の調査は、彼らの実践について必要な第三者評価を提供する。」

海軍は、AFFFの予備評価や現場検証を一度も公表していない。(包括的環境対応・補償・責任法プロセス《CERCLA》を参照)。この点で、ハワイは他のどの州よりも遅れている。議会代表団とハワイ州は何年も傍観しており、その怠慢と監督不行き届きの代償を払っている。事実上、州の主権を海軍に明け渡しているようなものだ。ハワイのみなさん、これはあなた方の戦いなのだ。GAO(会計検査院)は海軍の無謀な行動を非難はしても、猫に鈴をつける(実際に事を起こす)のは、ハワイ市民次第だ。

ハワイの代表団はGAO(会計検査院)に以下の質問に対する回答を求めている。

海軍がPFASにさらされた場所の浄化と修復に採用した方法は、ハワイの州および連邦政府の規制当局の基準に対して適切であったか?

ハワイでも他の場所でも、海軍のPFAS廃棄物は1つも「除染」されてはいない。

海軍は、PFAS暴露調査の過程で、適切な州および連邦規制当局に対して適切な情報を不適切に隠していたのか?もしそうなら、そのことがサイトの調査と修復にどのような影響を与えたのか?

CERCLA(包括的環境対応・補償・責任法)のプロセスを勉強し、海軍施設工学司令部(NAVFAC)の管理記録を調べてから、質問し直して頂きたい。確かに、一般市民が蚊帳の外に置かれていることが問題の大きな部分を占めている。透明性がないために信頼が得られない一方で、あなたがたはこの類の質問で現状を永続させようとしているように見える。

環境保護庁が更新するPFOSとPFOAに関する健康勧告を、海軍はどのように利用すれば、JBPH(パール・ハーバー・ヒッカム統合基地)の飲料水の安全確保と、環境修復と、JBPHとレッドヒルの更なる汚染物質(PFOS/PFOAと他のPFAS)の流出を防ぐことができるのか?

強制力はないがEPAのガイドラインでは、飲料水にPFASが含まれてはならないことになっている。海軍は、これらの化学物質が有害であることを知りながら、オアフ島で50年間も使用し、無謀にも廃棄してきた。海軍は、貴重な帯水層に時限爆弾を仕掛けたようなものだ。 世界の他の多くの国では、フッ素を含まない発泡材を使うようになり、工業用途でもこの化学物質から脱却しつつある。海軍と議会はこの点に関して意固地である。


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【国防総省、環境保護局、ハワイ州保健局は、2022年11月29日にレッドヒルで海軍が放出した消火液の濃度について、国民を混乱させた】                       

パット・エルダー著

これら3機関(国防総省、環境保護局、ハワイ州保健局)は、泡ではなく、はるかに危険な水性フィルム形成泡濃縮液1,300ガロンが放出されたことを国民に明らかにしなかった。海軍が6号坑の悪名高いビデオの映像を公開するのをためらっているのも、このためかもしれない。漏れた物質は、写真やビデオで見るような、格納庫や駐車場の車をコーティングしている泡状の物質ではなく、水のように見える。AFFF濃縮液は、ほとんどが水でできている。透明からやや淡い黄色の液体として現れる。 たとえば、「ケムガード」 の濃縮 AFFF 3%は、90%が水で構成されている。

〜 AFFFの濃縮液、溶液、発泡体 〜


AFFF発泡濃縮液 - 濃縮液は製造元から供給され、泡を作るために水と混合される。 複数のメーカーが、5ガロン缶、55ガロン缶、265ガロン缶で濃縮液を販売している。

AFFFフォームソリューション - これは、水と濃縮泡が正しい割合で混合された後の溶液である。この場合、3%の濃縮液と97%の水。

AFFF泡 - 泡の溶液が適切に混合されると、それは通気性の排出装置から出される。消火用泡は、小さな空気で満たされた泡の非常に安定した塊であり、油、ガソリン、水よりも密度が低い。泡は、水、濃縮泡、空気という3つの成分からできている。この3つの成分を正しい割合で混ぜ合わせると、巨大でふわふわの泡の毛布ができ、火を消し止めることができる。

漏洩の翌日、海軍のために設けられた権威あるPFAS-具体的サンプリングと分析計画(SAP)は、2022年11月29日に放出された「1,300ガロンのAFFF濃縮物」について言及している。

1,300ガロンの濃縮液を水と混ぜ、エアレーターを通すと、43,333ガロンの泡が発生すると予想される。(43,333 x .03 = 1,300)

2015年に沖縄の嘉手納基地で酔っ払った米海兵隊員がAFFF抑制装置を作動させたところ、5,548ガロン(約2万1千リットル)の泡が格納庫に放出され、駐車場にこぼれ落ちた。

レッドヒルの濃縮液放出では、43,333ガロンの泡、つまりこちらの悪名高い写真に写っている泡の約8倍の量の泡ができた可能性があるかもしれない。泡は3%の濃縮液と97%の水で構成されていた。

2022年12月8日の環境保護局とハワイ州保健局からホノルル市郡水道局長兼チーフエンジニアのアーネスト・Y・W・ラウ氏への手紙は、AFFF濃縮液が放出されたことに触れていない。その代わり、泡に言及している。

ハワイ州保健局もプレスリリースで、AFFF濃縮液が流出したことに触れていない。

予想通り、国防省視覚情報配信サービス(ペンタゴン内の機関)は、AFFF濃縮液が流出したことに言及しなかった。

シビルビート(ハワイのニュース局)は、海軍が2020年9月29日に、消火システムの「不注意なトリガー」の後、「5000ガロンの液体」を放出したと報告した。レッドヒルの元従業員は、泡と水が地下のポンプハウスの床にあふれたと説明した。

AFFFシステムに詳しいエンジニアは当誌「ミリタリーポイズンズ」に、"加圧された濃縮液がステンレス鋼パイプから噴出し、表面に衝突すると、その過程である程度の曝気が行われ、少量の泡が形成される "と語った。

シビルビートは、ユーロフィンズ・サイエンティフィック社による分析で、2020年9月29日の流出事故からの1つのサンプルに、20万ppt(pptは1兆分の1)のPFOSが含まれていたことを報じた。泡をサンプリングしたのか、濃縮液をサンプリングしたのかは不明。

もし20万pptの濃度が泡からのものであれば、濃縮液には666万pptのPFOSが含まれていると予想され、嘉手納基地でFOIAが入手した報告書によると、PFOSは最大で95億pptの濃度で検出された。

2018年の分析によると、すべてのAFFF濃縮配管はステンレスで作られている。報告書によると、レッドヒルには1450ガロン(約5500リットル)の泡濃縮タンクが2つある。2,900ガロン(約1万1千リットル)の泡がすべて水と3%の溶液として混合された場合、抑制システムによって生成されたAFFFのそれぞれの合計は96,666ガロン(約36万6千リットル)を含むかもしれず、これは嘉手納基地の格納庫と駐車場17個分に相当する。

ダウンズ法律事務所の継続的な資金援助に感謝します。彼らの協力なしには、このペースでレポートを作成し続けることはできませんでした。ダウンズ法律事務所は、消防士などPFASにさらされる可能性の高い人たちに法的代理人や血液検査を提供するために、複数の基地からなる連合を立ち上げるべく活動しています。

ミリタリーポイズンズとWILPFは、南フロリダでのPFAS海産物検査の費用を賄うための資金を募集し続けています。税金控除の対象となる寄付は、こちらからどうぞ。 あなたが食べる魚には、あなたの血液中には何が混入しているでしょうか?